海の底で流れたスペインの珠玉の調べ

Enrique Granados y Campiña

グラナドス没

グラナドス(1867〜1916)作曲、《12のスペイン舞曲》より「アンダルーサ」

芸術の神に愛された音楽家は、ときに悲しい最期を与えられることがある。20世紀前半のスペインを代表する作曲家、エンリケ・グラナドスの場合は大西洋の海の藻屑となって天に召された。1916年のこの日、彼はオペラ《ゴイェスカス》のアメリカ初演の成功の美酒に酔いながら祖国に戻るサセックス号の船上にいた。
船がドーヴァー海峡に差し掛かったとき、ドイツの潜水艦Uボートから魚雷が発射された。

ギター曲としても愛奏されているグラナドスのピアノ音楽の代表作が、1892年に書かれ彼の名声を世に広めた《12のスペイン舞曲》である。なかで最も親しまれているのが、アンダルシア地方の風景を描いた第5曲「アンダルーサ」だ。
孤独なつぶやきを思わせる変則的なリズムの上で嘆きの歌が切々と奏でられる3部形式の音楽で、中間の真珠の輝きを思わせるメロディは、まるでグラナドスの非常の死を予告していたかのように、哀愁を帯びて美しい。

Image courtesy of NamikizakaRecords

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