「デカダンス」という言葉の似合う天才ピアニスト*目茶苦茶面白い演奏をする サンソン・フランソワ ショパン・ポロネーズ集
通販レコードのご案内強烈な芸風が作品の意外な魅力を引き出してどれも聴きごたえがある。
《仏カラー・スタンプ・ドッグ盤 ASD FR1》FR VSM C053-10007 フランソワ ショパン・ポロネーズ きらクラでリスナーから「クラシックの演奏家は筋トレをしますか」と質問があった(2017年9月10日午後2時からNHK-FMで放送)。吹奏楽部は体力づくりに走りこみを当然しているが、楽器を演奏する、それがクラシック音楽となると、文系のイメージが濃くあるものだ。確かにTVでクラシックのオーケストラ演奏を見ていても、でっぷりした指揮者は最近見なくはなってきたが筋骨隆々に見える演奏家は目に止まらない。脱げば凄いんですよ、かも知れないが楽器の演奏に使う筋肉は特殊に思われる。
酒・煙草・ジャズをこよなく愛し、不健康な生活の果てに46歳で逝ってしまったフランソワですが、残された録音は、それだから価値あるのではなく中でもショパンとの相性は良かったようで、強烈な芸風が作品の意外な魅力を引き出してどれも聴きごたえがあります。モノラル盤とステレオ録音とがあり、このショパンは本当に凄いです。
ショパンはピアノという楽器の魅力を最大限に表現した作曲家だったと思う。美しく華やかでウイット富んだ作品を聴いていると、本当ににピアノの詩人という表現がぴったりだ。フランソワも洒落た粋な演奏。フランソワはショパンのスペシャリストだし、もう十分すぎるほどの定評があります。
しかし、サンソン・フランソワのデビュー盤は、1947年9月に78回転のレコードのために録音したラヴェル『スカルボ』である。このレコードが同年3月に録音したリパッティのショパン『ソナタ第3番』と1949年度のディスク大賞を争って破れたというのは象徴的だ。
フランソワは第1回ロン=ティボー・コンクールの優勝者だが、この時は現行のような国際コンクールではなく、ロン夫人とヴァイオリニストのジャック・ティボーがパリ占領下の1943年に催した国内コンクールでしかなかった。審査員たちは優等生タイプの女性コンテスタントと奔放なフランソワの間で迷ったが、以前にフランソワと共演してその才能に魅せられていた指揮者のビゴが、彼が優勝しないなら審査員を降りると言い張り、根負けしたロン夫人が彼を1位にしたという話が伝えられている。
フランソワもパリ音楽院時代は、がっちりしたべートーヴエンを弾いた。ところが「楽譜に忠実派」のマルグリット・ロンに習っていたが、先生の言うことはまるできかなかった。ロン夫人は曲げた指でカタカタと弾いたが、フランソワは長くのばした指で鍵盤をはらうように弾いた。そんな弾き方ではタッチが不揃いになると非難されても、ジャズを愛する彼は、そもそも音符を均等に弾きたいとは思っていなかったようだ。
フランソワの演奏の魅力は、即興性の一語につきるだろう。ちょっと酔っぱらったようなリズム、風にたなびくようなフレージング。テキストの間違いも気にせず、その時に舞い降りてきた霊感に忠実に演奏する。いきおい、すばらしい時もあれば耳を覆いたくなる時もある。しかし、彼の演奏の「聴く人を魅了」する不思議な力は、一度囚われてしまうと忘れがたい。
フランソワがレコーディング中の心臓発作で亡くなるのは1970年10月22日。これはステレオ録音時代になって演奏しなおしたショパンの一連のシリーズになったレコードで、フランソワのもっとも脂ののりきっていた時期のものと言える。ともかく、モノラル録音時代の演奏家のステレオ録音での再録音というと高齢に伴うテクニックの衰えを心配するが、サンソン・フランソワの名前は「目茶苦茶面白い演奏をするピアニスト」として、わたしの心に深く刻まれたレコードだった。
通販レコード詳細・コンディション、価格
プロダクト
Frédéric Chopin – Samson François – Polonaises
- レコード番号
- C053-10007
- 作曲家
- フレデリック・ショパン
- 演奏者
- サンソン・フランソワ
- 録音種別
- STEREO
販売レコードのカバー、レーベル写真
コンディション
- ジャケット状態
- EX
- レコード状態
- M-
- 製盤国
- FR(フランス)盤
《カラー切手ドッグ 白枠》 セミサークルラベルのニッパー君の部分が四角い縁取りで囲まれ、ちょうど切手(スタンプ)のように見えるためです。ASD2470 あたりから 2750 あたりまではカラー・ニッパーがオリジナルで、これ以降はモノクロのニッパーが初版ということになる。盤自体のクオリティがとても高く、ばらつきも少なく優秀なプレス技術といえます。
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これがポーランドに逆輸入され、19世紀初頭にショパンが継承した「ポロネーズ」には郷土の伝統というよりは国際的に久しく通暁していた形式あるいはジャンルのひとつであり、奇しくも1830年以降のパリにおいてショパンが「ポロネーズ」を書く、ということには、また別の意味があった。
レコードサウンド/カテゴリ指定
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