通販レコードのご案内長いゆっくりした第2楽章をどれほどの緊張感を保ってたおやかにコントロールできるか、というのが《田園交響曲》を演奏する肝である。

《仏ffrr 210㌘重量フラット盤》FR DECCA LXT2872 エーリヒ・クライバー/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」

  • エーリヒ・クライバーはウィーン生まれの20世紀を代表する名指揮者のひとり。第二次大戦後のレコード全盛期を迎える前に没したために、SP時代の人気と名声のわりにはLP録音が少ないのが残念ですが、幸いデッカには彼が得意としていたベートーヴェンの交響曲が5曲遺されました。特に6番は、発売当時から高い評価を受け、今なお「田園」の名演のひとつとされている録音だ。
  • FR DEC LXT2872 エーリヒ・クライバー ベートーヴェン・交響曲6番「田園」
録音:1953年9月 アムステルダム
昔、社会人にちょうどなるときに聴いた、アンドレ・クリュイタンス指揮ベルリン・フィルの《田園》を聴いて、深く感動したことがある。カラヤン、ベームのレコードで耳だこになっていたこの曲が、まったく新鮮なものとして響いた。小学校以来の音楽の授業で、ベートーヴェンはドイツの音楽だと無意識に固定していたが、彼の交響曲はフランスではじめに受け入れられた。というベートーヴェンが後世に名を残す背景にあることを後に学んで、改めてクリュイタンスに感動した本当のところが理解できた気がした。
《田園》は音楽の抗うつ剤です。楽章の進行に合わせたステップ式セラピー効果が期待できる音楽であろうかと思います。ベートーヴェンの交響曲はどれも個性的ですが、合唱付の「第九」と、表題音楽的なこの《田園》とは構成上他とちょっと違った作品かもしれません。
《田園》を表すパストラーレ〝Pastrale〟は5番の交響曲が日本で「運命」と呼ばれるのとは違い、作曲者本人が付けたタイトルです。このパストラル(英:pastoral、独仏伊:パストラーレ pastorale)はギリシャ由来の長い伝統を持つ芸術の様式で、羊飼いたちの恋愛やロマン主義的に理想化された田園生活を描く文学、詩、絵画、音楽の分野です。田舎にやって来たときの出来事を追っているところから表題音楽の先駆け的な作品と言うことができますが、表題音楽という分野はロマン派音楽のものであり、曲調ではなく音形そのもので雷雨を表す手法が擬音的特徴として、ヴィヴァルディの「四季」を思い浮かべることができ、また心象風景を伝えるという意味では古くルネサンス、バロック時代から綿々と受け継がれていました。
心理学に革命を起こしたユングが、人間の深層心理を究めて行ってたどり着いた曼荼羅の世界観は、わたし達の日常暮らしの鏡で、異なるものは異なるままに、互いに補い、ともに生きるのがわたし達。立って半畳、寝て一畳というわけには行かないもの。学校の音楽の授業で学ぶ大作曲家たちは欲を成就させたからだと見て取れる。王侯貴族の世界の珍味を求めるようなことはなかったが、21歳で人気作曲家となった男は、44歳で音楽界から足を洗い、高級レストランの経営者、現在でも彼の創作した料理がグルメの舌を楽しませている。そんなロッシーニは格別だが、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスのエピソードからわかるのは身の丈にあったグルメであったようで、それが創作の糧になっていたようでもある。ショパンはプロはだしの料理人だったが、客が集う前に料理を作り終えるとさっさと作曲室にこもったという。閑話休題。
「幸福は意志によって作る」というベートーヴェンの哲学を、そこへ至るまでの紆余曲折によって示したのが「第九」であるなら、《田園》には〝今、ここ〟の幸福があります。田舎にやってきたときの心の動きを5つの楽章で示しており、途中で村人との語らいがあったり雷雨があったりと、厳めしさや抽象性を言われるベートーヴェンにあってぽっかりと抜けた親しみやすさがあるために、「エリーゼのために」や「月光」とならんで入門曲のように思われています。しかし構成は革新的だし、「第九」や晩年の四重奏群と比べて精神的に高いの低いのといった比較するのも意味のないことだと思います。変則的な構成の交響曲であり、長いゆっくりした第2楽章(アンダンテ・モルト・モッソ)をどれほどの緊張感を保ってたおやかにコントロールできるか、というのがこの曲を演奏する肝である。
エーリヒ・クライバー(Erich Kleiber/1890~1956)の至芸が味わえる1枚。交響曲6番《田園》はベートーヴェンの交響曲の中でも得意としていた楽曲で、クライバーの本領を存分に発揮した歴史的名演です。エーリッヒ・クライバー演奏は気品があって、しかも気張っていないところが素敵だ。オーケストラはコンセルトヘボウで、やはりとても真っ当な、説得力のある音楽を送り出している。
テンポから言うと第1楽章はやや軽快な運びで、緩徐楽章は逆にゆったりとしているなど、曲想によって自在です。物腰は穏やかだが、あくまで姿勢正しく、ダレるところは一箇所もない。よく聞くと、はきはきしたテンポをとっている場合でもしなやかによく歌わせ、スラーでつなぐ滑らかさがあり、一本の糸がピンと綺麗に張り詰めている。全体としては端正で軽やかな印象を受けます。
この指揮者の音の重ねて行くそして音を抜いて行く事の上手いこと。そう目立った特徴はないのですが第2楽章のゆっくり目の新鮮な自然描写はピカ一。他の楽章もキビギヒと感じさせる演奏。第2楽章では自然への賛歌をじっくり歌い上げ、アグレッシブな第3、4楽章を経て、フィナーレでは大自然の中に抱かれるような大きな広がりのある感動的なクライマックスを築き上げていく。
《田園》には数々の名録音があります。ワルター/コロムビア響の《田園》といえば昔から名盤として名高いものだが、音楽が表情を持っている、とても心優しい演奏だ。きちんと音楽のツボが押さえられているが、老獪さや小賢(こざか)しさは皆無。演奏に関しては文句のつけようがない。でもオーケストラの音色のことを言えば、コンセルトヘボウ方が深みがあって、『まだこの先にひとつ奥の部屋がありますよ』みたいな深さだ。
コンセルトヘボウ管弦楽団の落ち着いた深い味わいのある響きも魅力的で上品な《田園》に仕上げている。強烈な個性の指揮者が群雄割拠する時代においてやヽ残された録音が少ないだけに最高さが目立つ盤です。彼は《田園》をこれ以前(1948年)に同レーベルに「ロンドン・フィル」ともスタジオ録音しているがやはりこの「コンセルトヘボウ盤」が演奏の質、録音共に1枚上であろう。録音もDECCAの優秀な録音の為、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の艶のある美しい音色がしっかり捉えられています。発売当時から高い評価を受け、山ほどある《田園》のレコードの中でも最高峰のうちの一つです。

通販レコード詳細・コンディション、価格

プロダクト

  1. レコード番号
    LXT2872
  2. 作曲家
    ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
  3. オーケストラ
    アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
  4. 指揮者
    エーリッヒ・クライバー
  5. 録音種別
    MONO
ORANGE WITH SILVER LETTERING, MONO FLAT 1枚組 (210g) 重量盤, Stamper 2A/2A。

販売レコードのカバー、レーベル写真

  1. FR  DEC  LXT2872 エーリヒ・クライバー ベートーヴェ…
  2. FR  DEC  LXT2872 エーリヒ・クライバー ベートーヴェ…

コンディション

  1. ジャケット状態
    EX
  2. レコード状態
    EX
  3. 製盤国
    FR(フランス)盤

オーダー・リンクと販売価格

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