(これは5月27日に書いています。)週末から九州南部は梅雨入りしました。五月半ばから0度を超える夏日になる日もありますが、体感的に熱いと感じないので、家の中を空気が通っているのがはっきり感じるからか。窓は開けていないのに、隙間ができているのかしら。
日本の音楽批評の最高峰のお一人、吉田秀和さんが亡くなられてから、もう6年(2012年(平成24年)5月22日)。享年98歳だと改めて認識して、驚いた次第です。
没されてからも残されていた原稿を元にNHK-FM「名曲の楽しみ」は放送が続いていましたが、すっかりタイムテーブルも変わってしまった。これからも放送が続いていたのなら、音楽解説番組の最高齢となる事でしょう。指揮者ストコフスキーが95歳だったことを思えば、世界記録ではあるのでは無いかしら。と期待もしたことが懐かしい。

horowitz

「ホロヴィッツ事件」というのが歴史にある。1983年6月11日は、ホロヴィッツが初来日してピアノ演奏を実際に日本の聴衆の前で行った日。
時代はバブル景気。ピアノ・ソロの演奏会では最高金額でした。その金額でホロヴィッツが動かされたと言われても仕方の無いことでしたが、『ひびの入った骨董品』と来日演奏を批評したのが、吉田秀和さんでした。それは若い時に来日して貰って、実際の演奏に接したかった。と言う吉田さんの正直な夢だったのですが、音楽批評雑誌の見出しだけが躍ってしまった感じです。
 来日の演奏会は、その一週間後にテレビ放映され多くの関心を呼びました。口さがない人は『ボロヴィッツ』などとあざけったものです。初めてそのときにホロヴィッツという名前の老ピアニストの演奏を聴いた人は多かったことでしょう。誰かが、奇跡のピアニストを連呼していたら印象は変わっていたかも知れません。


 無人島に持って行くレコードと、著名な演奏家が言った一枚。との表現が時に踊っているものですが、その言葉の前後に何があるのか、はたまた本当にその演奏家の言ったことなのか真偽が・・・インターネットで時に話題となります。でも、無人島を孤島、リゾートと解釈したらどうだろう。
 吉田秀和さんが 1971年からつづけてきたNHK-FM『名曲の楽しみ』は、その後番組として、「クラシックの迷宮」に引き継がれた。作曲家の生涯を追ってレコード、CDで聞いていくことは根気のいる気の長いことだ。番組のフォーマットはそのままに、日本での上演史という、音源にはNHKに残されているアーカイヴスを掘り起こして、これまた長寿番組になるほど資料として充実していく期待がある。
『朝のバロック』、『20世紀の名演奏』、『名曲の楽しみ』とNHKのクラシック解説番組は後継番組は、アカデミック性を高めてしまった。名曲を簡潔な解説で楽しめるのは日曜日朝の『音楽の泉』を残すのみとなりました。
 ホロヴィッツの初来日は、芳しい結果では受け止められないことになりましたがモスクワでのライヴ、その帰り道での来日演奏会。それらが素晴らしいものであったこと、それはライヴ録音のアナログ盤の評判が良いので感じられるとおりです。