受胎告知を受けたマリアが神を賛美して歌う讃歌 ― 完璧なハーモニーと美しいディクションは当盤随一

受胎告知を受けたマリアが神を賛美して歌う讃歌 ― 完璧なハーモニーと美しいディクションは当盤随一

通販レコードのご案内最高級のロッシーニ歌手がふたり。その透明感溢れる歌声と、合唱団の生み出す透明で混じりけのない響き。GB EMI 2C 069-02 946 VIVALDI MAGNIFICAT&GLORIA (演奏者)テレサ・ベルガンサ ルチア・ヴァレンティーニ・テッラーニ リッカルド・ムーティ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 (曲目)メンデルスゾーン ヴィヴァルディ・マニフィカト&グローリア 現代を代表するイタリアの巨匠リッカルド・ムーティ。クレンペラーの後任として首席指揮者を務めていた時代のニュー・フィルハーモニア管弦楽団との録音は、巨匠の風格漂う堂々たる演奏だ。詳細掲載ページ〝自分が死んだときにどんな曲で送りだしてもらいたいか〟と同じ音楽愛好家同士で、そんな話をした経験があるでしょう。ここではネガティブな話ではなくて、それほど好きな曲がある?という話です。一世を風靡したピアニストが、精神的に回復していく過程でイメージ・ヴィデオ的に登場したヴィヴァルディの宗教音楽。映画の大ヒットと一緒に評判となりました。日本でもチケットが売り切れるほど話題のコンサートを開いた、オーストラリア出身の実在のピアニスト。デイビット・ヘルフゴットの話を元にした映画「シャイン」。才能がありながら、父親との確執から留学先のイギリスで精神を病み、一度は音楽から遠ざかったデイビット。彼をいろいろな面から支えてくれる女性と知り合い、結婚したのち、ピアニストとして活動を再会しました。 テレサ・ベルガンサとルチア・ヴァレンティーニ・テッラーニという、最高級のロッシーニ歌手がふたり。登場個所が少なめでもったいないくらい。その透明感あふれる歌声と、確かな技巧と、合唱団の生み出す透明で混じりけのない響き、完璧なハーモニーと美しいディクションは、当盤随一の聴きどころといえるでしょう。当時、リッカルド・ムーティを擁していたEMIは、お互いにライヴァル心むき出しだったクラウディオ・アバドのいたドイツ・グラモフォンと、これまた何かにつけはり合うことが多かった。そのためムーティはモーツァルト、ベートーヴェンはいざ知らず、けっこうマイナーなロシア音楽だの、ありとあらゆる曲を録音している。そのためニュー・フィルハーモニア管弦楽団や、フィラデルフィア管弦楽団とのクァドラフォニック盤やデジタル録音盤でのEMIらしからぬ芯のある録音もよいです。そして、当時のイタリア・オペラ界の名歌手の黄金期でもあったため、ヴェルディの歌劇「アイーダ」、「仮面舞踏会」、「マクベス」の競いあうような争奪戦。皮肉なことに、両盤のキャストを混ぜ合わせると、史上最高のキャストが出来上がります。もしムーティが得意の曲だけやっていれば、「なかなかいい指揮者じゃないか」となるだろう。だが、現代においてはそれでは許されない。レパートリーもキャリアも、何でも拡大路線でなくては生きていけない。 ヴァイオリン協奏曲集「和声と創意への試み」作品8から《四季》ばかりのヴィヴァルディですが、最近は50あまりあるオペラにも脚光が浴びている。映画『シャイン』で有名になったモテット《地上に真の平安はなく(Nulla in Mundo Pax Sincera, RV630)》をはじめ、宗教曲も多くて、その代表格が本盤の《マニフィカト ト短調(Magnificat, RV610)》と《グロリア ニ長調(Gloria, RV589)》。メゾ・ソプラノとコントラルトの二人の女声ソロと合唱、弦楽合奏と通奏低音のための《マニフィカト》は受胎告知を受けたマリアが、神を賛美して歌う讃歌。受胎の喜びと、賤しい我が身の僕が永遠の王(イエス)を産むという、大いに謙った立ち位置で祈る神至上の讃美歌。新約聖書のルカによる福音書第1章47〜55節「マリアの賛歌」に基きます。「マニフィカト」の名作といえば、ヨハン・ゼバスティアン・バッハのそれが、輝かしい喜びに溢れているのに比べヴィヴァルディの《マニフィカト》はシリアス。冒頭の合唱はまるでバッハの《ロ短調ミサ》のキリエのような峻厳さを伴った響きです。曲は、11の部分から構成され、以後曲調は変化していき〝四季〟の音楽に歌が付いたような部分もありますが、歌詞の内容はなかなか厳しく、〝心の思いの高ぶった人を追い散らし、権力ある者をその座から引きおろし、卑しい者を引き上げ … 〟といった一種の厳しさも根底には流れています。 いつも明るく伸びやかなヴィヴァルディの顔に加えて、ちょっと落ち着いた雰囲気も横溢した、圧倒的な合唱の透明度。それがマリアの自らを戒めて祈り歌う謙虚な姿をとてもよく映し出している。それと通奏低音のチェンバロがすごく心地よく、喜ばしく快活な雰囲気を醸しています。バッハの受難曲の通奏低音でチェンバロが目立つと逆に騒々しく、不似合いとさえ感じられるのと対照的です。そのせいか、ナポリ生まれの熱血漢というイメージをまったく感じさせない、流麗で滑らかな演奏となっている。今日では帝王とも呼ばれるムーティが本盤を録音したのは、まだ30歳代の半ばですが当時の手兵だったフィルハーモニア管弦楽団は低迷期だったと言われる。録音当時はニュー・フィルハーモニア管弦楽団と名乗っていた名門も、ここでは優れたパフォーマンスを示している。時として情緒豊かにメロディを鳴らし、時として熱くオーケストラを語らせるイタリア人ムーティの自在な、しかし落ち着いたタクトがこの曲想に良くあっている。1976年10月、11月、1977年6月ロンドン、キングズウェイ・ホール&アビー・ロード第1スタジオでの SQ STEREO 録音。 通販レコード詳細・コンディション、価格 プロダクトレコード番号2C069-02 946作曲家アントニオ ・ヴィヴァルディ演奏者テレサ・ベルガンサ ルチア・ヴァレンティーニ=テッラーニ レスリー・ピアソン ノーマン・ジョーンズ ゴードン・ハントオーケストラニュー・フィルハーモニア管弦楽団指揮者リッカルド・ムーティ録音種別STEREO 販売レコードのカバー、レーベル写真 コンディションジャケット状態M-レコード状態M-製盤国FR(フランス)盤COLOR STAMP DOG, QUADRAPHONIC 録音, STEREO 1枚組 (130g), Release 1978. 仏製見開きジャケット.通販レコード詳細の確認、特別価格での購入手続きは品番のリンクから行えます。オーダー番号34-11737特別価格2,420円(税込)通常価格3,080円(税込) (さらに…)...
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クラシック名録音106究極ガイドが選んだ◉ゲオルグ・ショルティ指揮シカゴ響 ベートーヴェン・交響曲9番「合唱」

クラシック名録音106究極ガイドが選んだ◉ゲオルグ・ショルティ指揮シカゴ響 ベートーヴェン・交響曲9番「合唱」

通販レコードのご案内嶋護・著「クラシック名録音106究極ガイド」でも紹介されています。GB DECCA 6BB121/2 (演奏者)ゲオルグ・ショルティ指揮 シカゴ交響楽団 ピラール・ローレンガー イヴォンヌ・ミントン スチュアート・バロウズ マルッティ・タルヴェラ (曲目)ベートーヴェン・交響曲9番「合唱」 ショルティは、1972年5月から1974年9月にかけて、シカゴ交響楽団を指揮して初のベートーヴェンの交響曲全集を録音しました。さらに、その後1986~89年にも再録音がなされていますが本セットは前者。ショルティならではの筋肉質な演奏で、ヨーロッパ的気品を持たない無骨な演奏がかえって刺激的な魅力を生み出している唯一無二のオーディオファイル盤に仕上がっている名盤で米国THE ABSOLUTE SOUND誌所謂TAS推薦盤としても高名。それもケネス・ウィルキンソンとゴードン・バリーが録音エンジニア務めているから当然言えば当然、オーディオルームがホールと化します。1972年5月シカゴ、イリノイ大学クランナートセンター録音、P&E:ケネス・ウィルキンソン、ゴードン・パリー&デヴィッド・ハーヴェイ詳細掲載ページ半世紀にわたり一貫してDECCAに録音し数々の名盤を遺した重要なアーティストであり続けた。そのレパートリーは多岐にわたり、バッハからショスタコーヴィチまで幅広く網羅。おそらく有名交響曲作家で1曲もやっていないのはシベリウスぐらいではないか。ショルティは、1972年5月から1974年9月にかけて、シカゴ交響楽団を指揮して初のベートーヴェンの交響曲全集を録音しました。さらに、その後1986~89年にも再録音がなされています。それ以前、1950年代に録音されたロンドン・フィルハーモニー管弦楽団やウィーン・フィルとのレコードは全集に至っていませんでした。特に5、7、9番は2回目の全集より力強さとアグレッシブさが前面に出ており、より良い。この説得力は、英デッカ社の巧みなノウハウに負うところ大だと思います。エンジニアは英デッカの大御所ケネス・ウィルキンソンと弟子のジェームス・ロック。3つの会場を使った彼らの録音にありがちな事情ですが統一感があり、一番状態が良いのが第9番で、響きを抑えて明瞭感と質感を確保し、締まりのある中低域が気持ちよく響く仕上がり。 地鳴りする音が刻まれているのは当然か、とにかく凄まじい演奏。冒頭からただならない気配が支配し、その空気が全曲を覆う。オーケストラの響きは深々としていて実在感があり、息の長い旋律には生命感が漲り、押しと引きの対比も鮮やかで精鋭シカゴ響のもつ驚異的な表現力の幅がいかんなく発揮されています。ショルティのイメージから聴き始めはマッシブでガチガチに硬派な演奏で、しなやかさに欠ける演奏になるかと思いきや、単にオーケストラを煽るだけではなくて ― あるいは自らの底にあるロマンチズムが目覚めたからなのか ― オーケストラ共々非常に共感に満ち、時にロマンティックなうねりすら聴かせるのですが、それが類い希なほどの説得力を持って聴き手に迫ってきます。 来日時のベートーヴェンに感心したことを思い出させる、ただし推進力のあるだけの爆演ではなく、非常に生真面目な演奏でスコアに書かれた一つ一つの音を大事にしたベートーヴェンである。ショルティの音楽の特性は硬派、豪快、ダイナミックで、甘えのない厳格かつ躍動感に溢れる演奏。その反面 、比類なき生彩に満ち満ちた輝きを放つ。早いテンポでオーケストラを煽り、楽器を鳴らしまくるため聞き逃されてしまうが、対位法などのオーケストレーションを含む曲の構造に留意し精緻なアンサンブルを要求するといった論理的なアプローチも特色の一つで、完全主義者といわれる所以でもある。サー・ゲオルク・ショルティならではの筋肉質な演奏で、鮮やかに浮かび上がるベートーヴェンの交響曲特有のフォルムの美しさや堅牢さを味わえる。 通販レコード詳細・コンディション、価格 プロダクトレコード番号6BB121/2作曲家ルードウィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン演奏者ピラール・ローレンガー イヴォンヌ・ミントン スチュアート・バロウズ マルッティ・タルヴェラオーケストラシカゴ交響楽団指揮者ゲオルグ・ショルティ録音種別STEREO 販売レコードのカバー、レーベル写真 英国デッカプレスED4 original, NARROW BAND ED4, STEREO2枚組 (140g), Release 1972, Stamper 3W/4W/4W/3W.コンディションジャケット状態EXレコード状態EX++製盤国GB(イギリス)盤通販レコード詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。オーダー番号34-27331販売価格3,300円(税込) (さらに…)...
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『2001年宇宙の旅』のサントラ盤に使用◆ベーム指揮ベルリン・フィル R.シュトラウス・ツァラトゥストラはこう語った

『2001年宇宙の旅』のサントラ盤に使用◆ベーム指揮ベルリン・フィル R.シュトラウス・ツァラトゥストラはこう語った

通販レコードのご案内録音当時へのタイムトラベルした気分になるのがカール・ベームの不思議な魅力だ。《英ブルーライン盤》GB DGG SLPEM136 001 ベーム R.シュトラウス「ツァラトゥストラはこう語った」 カール・ベームは数多くのオペラ上演を中心に、芸術の振興に大きく貢献。オーケストラ・レパートリーでも慧眼というほかない作品を知り尽くしたアプローチで聴き手を魅了しました。ベームならではの質実剛健なアプローチが作品本来の味わいをよく引き出しています。1958年4月ベルリン、イエス・キリスト教会でのセッション・ステレオ録音。交響詩《ツァラトゥストラはかく語りき》は、かの名画『2001年宇宙の旅』のサントラ盤にも使用されていた《ツァラトゥストラはかく語りき》の決定盤。リヒャルト・シュトラウスと親交があり、その演奏の権威であったベームによる演奏は非常に説得力のあるものです。実際の映画ではカラヤン指揮ウィーン・フィルの録音が使用されていますが、当時リリースされているものと異なり、契約でクレジット出来ませんでした。  国際化する以前の ― まだカラヤン節に染まりきっていない頃の ― ベルリン・フィルを指揮した『ツァラトゥストラはかく語りき』『祝典前奏曲』『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯』『ドン・ファン』『サロメの踊り』の5作品は、すでに名演奏として有名なもので重厚壮麗で骨太なサウンドが素晴らしい聴きものとなっています。1981年8月14日にザルツブルクで亡くなった。ウィーン・フィルを率いて来日していたので錯覚もしていたが、戦後暫くはウィーン国立歌劇場の音楽監督を引き受けていたが1956年に辞任してからは特定のオーケストラや劇場に所属していない。  来日の中継はFMで聞きましたが熊本はまだ生中継ではありませんでした。レコードで聴くカール・ベームの演奏は、いずれもベームの演奏の特徴である厳格な造形、音楽の自然な流れと劇的な緊張感が見事に示されていた。発売されるレコードは良くカラヤンのレコードと比較して二者択一していた。それが死後一気に、わたしの記憶からずっと遠い存在となった。その晩年にロンドンに客演した幾つかの録音だけが、今も心を満たしてくれている。肩の荷が下りた、奔放さとは無縁の人だったが、彼自身が本来持っていた音楽性がそれらにはあると感じているからだ。 通販レコード詳細・コンディション、価格 プロダクトレコード番号SLPEM136 001作曲家リヒャルト・シュトラウスオーケストラベルリン・フィルハーモニー管弦楽団指揮者カール・ベーム録音種別STEREOBLUE LINE, STEREO 1枚組(130g), Release 1959。 ブルーライン 黄色地に黒文字。リムに青い二重線が引かれたラベル。通称、BLUE LINE と呼ばれています。 販売レコードのカバー、レーベル写真 コンディションジャケット状態M-レコード状態M-製盤国GB(イギリス)盤通販レコード詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。  オーダーは 品番 / 34-20302 販売価格 4,400円(税込) (さらに…)...
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高音質と独特の音響世界 – HM1015 グレゴリオ・パニアグァ 古代ギリシャの音楽 – 長岡鉄男大絶賛により一世を風靡

高音質と独特の音響世界 – HM1015 グレゴリオ・パニアグァ 古代ギリシャの音楽 – 長岡鉄男大絶賛により一世を風靡

長岡鉄男氏の大絶賛により大ヒット、驚異的な高音質録音で一世を風靡した一枚。伝説的な高音質録音と独特の音響世界! 通販レコードのご案内FR HM 1015 グレゴリオ.パニアグア・アトリウム・ムジケー古楽合奏団 MUSIQUE DE LA GRECE ANTIQUE SN比がよく、残響がすごく長く豊かで美しく、しかも直接音は鮮明で力強い。音像の輪郭は自然、定位も自然で、音場は3次元的に深く広い。はるか彼方に雀の声がきこえる。雀の声はアルバムを通して絶えず入っている。 ずば抜けた優秀録音と独特の音響世界とでハルモニアムンディ・フランスの大ベストセラー。数少ない資料から楽譜、楽器、演奏法をまさに「復元」。 古代ギリシアを大胆に再現し、大きな衝撃を与えた1978年の録音。録音でも高く評価された名盤。グレゴリオ・パニアグアによる古楽アンサンブル、アトリウム・ムジケ・デ・マドリッドによるアルバムは今を以ってしても、やっぱり衝撃を受ける。何なんだ?!この音楽は … ピューン、ドドドドン、シャリシャリン!まるで、何かをひっくり返してしまったようなサウンドで始まる。いきなりの騒音にドキっとさせられ、のっけから衝撃的。 Dレンジは圧倒的に広く、こんなに力感のある、厚みのある音はきいたことがない。ぞっとするほどの生々しさがある。こんな録音は通常の方法では不可能である。筆者の想像では、録音場所は、人里離れた修道院の、天井の高い礼拝堂、時間は早朝、マイクは2本、2トラックデッキ直結、リミッター、ドルビー、ミキシング等いっさいなし、というのを基本にしていると思う。とにかくすばらしい録音である。 より良い音で楽しみたいというのがオーディオ・ファイルの見果てぬ夢。アナログ録音の持つ風合い・空気感がダイレクトに届きます。ぜひ、お手持ちの装置とご自分の耳でお確かめください。 販売レコードのカバー、レーベル写真 プロダクト 品番 34-20616 レコード番号 HM1015 指揮者 グレゴリオ・パニアグァ オーケストラ アトリウム・ムジケー古楽合奏団 録音種別 STEREO ジャケット状態 M- レコード状態 M- 製盤国 FR(フランス)盤 カルテ(その他) BLACK WITH SILVER LETTERING, STEREO, Release 1979 通販レコード詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。オーダー番号34-20616販売価格13,200円(税込) プライバシーに配慮し、会員登録なしで商品をご購入いただけます。梱包には無地のダンボールを使用し、伝票に記載される内容はお客様でご指定可能です。郵便局留めや運送会社営業所留めの発送にも対応しております。 (さらに…)...
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熟成された濃密な男盛りを味わう*オイストラフ フルニエ ブラームス・ヴァイオリン協奏曲、二重協奏曲

熟成された濃密な男盛りを味わう*オイストラフ フルニエ ブラームス・ヴァイオリン協奏曲、二重協奏曲

通販レコードのご案内何十年もクラシック音楽を聴いてこられたオールドファンにとってダヴィッド・オイストラフはやはり特別な思い入れがあるヴァイオリニスト。 《仏カラー切手ドッグ盤》FR VSM 2C181-52289/90 オイストラフ、フルニエ クレンペラー、ガリエラ フランス国立放送管、フィルハーモニア管 ブラームス・ヴァイオリン協奏曲&二重協奏曲 20世紀を代表する巨匠ヴァイオリニスト、ダヴィッド・オイストラフ。1908年ウクライナ、オデッサに生まれオイストラフはソ連を代表するヴァイオリニストとして君臨しました。第2次大戦終了後西側での活動が本格的に始まると20世紀を代表する巨匠としての評価を確立しました。英EMIにはメジャー・レーベルとして最も多くの録音を残し、得意のレパートリーは、いずれも名演のほまれ高い演奏です。1950年代後半から60年代前半のオイストラフ絶頂期の録音。名演奏が数多くあるブラームスのヴァイオリン協奏曲ですが、中でも名盤中の名盤。  パリ、サルワグラムで録音されたクリュイタンス&フランス国立放送管とのベートーヴェンと並ぶクレンペラー&フランス国立放送管とのブラームスは、協奏曲集の決定版。豊潤さ、深淵さが加わり演奏家としての絶頂期  誰もが一度はダヴィッド・オイストラフの演奏に魅了される。緩急強弱の表現すべてが万全で、安定感があり、艶やかで美しい音色でも、鬼気迫る切れ味鋭い音色でも、翳りのあるメランコリーな音色でも、人をひきつける。どんなに一流と呼ばれる人でも、作品やその中にあるフレーズとの相性の良し悪しが出ることがしばしばあるが、オイストラフにかかると、そういうことはほとんど起こらない。ヴァイオリニストの王と讃える人が多いのも当然である。  オイストラフは録音を多く遺しているが戦争や冷戦があったために、凄まじい技術を誇っていた若い頃、思うように活動できなかったことが惜しまれる。オイストラフは1908年9月30日にオデッサに生まれ、ナタン・ミルシテインの先生でもあったピョートル・ストリヤルスキーに師事。音楽学校ではヴィオラとヴァイオリンの両方を学んだ。1924年に最初のリサイタルを開催。1935年に出場したヴィエニャフスキ・コンクールでは2位 ― この時の1位は、7月の鑑賞会で聴いていただいた、ジネット・ヌヴー ― に終わったが、1937年のイザイ・コンクールではリカルド・オドノポソフと優勝を争い、一位を獲得、これにより第一級の演奏家と認められた。戦後は西側でも活動できるようになり、各国で大成功を収め、その演奏のみならず人柄も愛されたという。かつてはフリッツ・クライスラーも、オイストラフはすべてのヴァイオリニストの中で、最も大切なものを持っている。彼が緩やかに演奏することだと評価していた。1950年代に録音されたチャイコフスキー、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲の演奏は作品の核へ向かう切り込み方も、のびやかな美音の歌わせ方も自然かつ適切なフレージングも理想的だ。  この1950年代の録音は、それまでのヴァイオリンの響きに豊潤さ、深淵さが加わり演奏家としての絶頂期を記録したものと言えるだろう。ソ連ないし東側の音楽家と組むときは、たいてい遠慮なく自分の音を出している。一方、西側で行われた録音は豊麗な音色や安定感のあるフレージングが際立っているものが少なくない。そんな美しい調和の成功例が、オットー・クレンペラーやジョージ・セルの指揮でソリストを務めたブラームスの録音だ。スケールが大きく、知と情のバランスがとれており技術面でも不足がない。そして、この演奏が絶賛されたことにより情熱を迸らせながらも基本的には穏健というオイストラフのイメージが確立された。 独奏者がお互いに共演者の長所を引き出しあって、ヴァイオリンとチェロのための《二重協奏曲》はは極上という感じ。オイストラフのがっちりした構成力とフルニエの格調高い音色、優雅さが素晴らしい。この録音を大変気に入っていたオイストラフは亡くなる日にも聴いていたとか。  英国ではブルー・アンド・シルヴァー盤として高額な盤の、フランス発売2枚組。後発と言え微塵も劣化感じないのはパテ盤の所為か優れたプレスです。《ヴァイオリン協奏曲》は、1960年11月パリ、サル・ワグラムでの録音。《二重協奏曲》は、1956年2月29日&3月2-3日ロンドン、キングズウェイ・ホールでの、ウォルター・レッグ&クリストファー・パーカーによる優秀録音、名演録音。オーダーはリンク先の詳細掲載ページで 通販レコード詳細・コンディション、価格 プロダクトレコード番号2C181-52289/90作曲家ヨハネス・ブラームス演奏者ダヴィット・オイストラフ ピエール・フルニエオーケストラフランス国立放送交響楽団 フィルハーモニア管弦楽団指揮者オットー・クレンペラー アルチェオ・ガリエラ録音種別STEREO 販売レコードのカバー、レーベル写真 カラー切手ドッグ, STEREO 2枚組.コンディションジャケット状態M-レコード状態M-製盤国FR(フランス)盤通販レコード詳細の確認、購入手続きはオーダー番号のリンク先で行えます。オーダー番号34-23636販売価格5,500円(税込) (さらに…)...
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♪のびやかな〝うた〟が魅力的 フルニエ&セル&ベルリン・フィル ドヴォルザーク・チェロ協奏曲

♪のびやかな〝うた〟が魅力的 フルニエ&セル&ベルリン・フィル ドヴォルザーク・チェロ協奏曲

ピエール・フルニエが米 CBS に録音する見返りにジョージ・セルがベルリン・フィルを振ることで成立した唯一のセッション。その演奏スタイルとノーブルな容姿から〝貴公子〟と謳われたフランスのチェリスト、フルニエ2度目となるドヴォルザークの代表的な録音。フランスの名チェリストであったフルニエがセルの指揮するベルリン・フィルハーモニーをバックに、1960年代初頭に録音した名盤の誉れ高いドヴォルザークのチェロ協奏曲。この協奏曲に内在する郷愁や憧憬を雄大なスケールで、しかも詩情豊かに表現した名演です。 通販レコードのご案内《RESONANCE》DE DGG 2535 106 フルニエ&セル ドヴォルザーク:チェロ協奏曲ヴィンテージLPの人気盤となるとカザルス、ジャクリーヌ・デュ・プレ、ロストロポーヴィチを指折れるドヴォルザークのチェロ協奏曲。独奏のチェロとオーケストラとががっぷり四つに組んでぶつかり合う感じではなく、オーケストラとチェロとが室内楽みたいに掛け合いながら、のびのびと旋律を奏で、歌い上げていく雰囲気がフルニエ盤の魅力。フルニエのチェロのカンタービレな歌いぶりもいいし、ベルリン・フィルの管楽器群、殊にフルートやクラリネット、オーボエといった木管楽器の演奏が聴きどころ。歌わせるところではゆったりとメロディーを歌わせ、締めるべきところではぴしっと締めてアンサンブルを整えるマエストロ・セルの熟練の棒さばきの見事さ。これは、セルの下、フルニエとベルリン・フィルがドヴォルザークの歌をのびやかに歌い上げてゆく、そこに一番の趣と味わいがある演奏です。1962年6月ベルリン録音。録音は、ベルリン郊外のダーレム地区にあるイエス・キリスト教会で行なわれました。1950年代初頭から1972年までベルリン・フィルの録音がほぼ独占的に行なわれていたこの教会は、深みのある豊かな響きが特徴ですが、アナログ時代のドイツグラモフォンの名エンジニア、ギュンター・ヘルマンスは、その中でチェロ独奏を美しく明晰に際立たせつつ、その背後に大きく広がるオーケストラのソノリティを余すところなく録音に収めています。 販売レコードのカバー、レーベル写真BLUE LINE, STEREO 1枚組(110g), Release 1975。 通販レコード詳細・コンディション、価格土臭さ満載のこの協奏曲から、これほどまでに温かくノーブルで、しかも繊細な響きを引き出しているのは、まさにフルニエならではの至芸といえるでしょう。この協奏曲は、フルニエにとって愛奏曲の一つであり、そのフルニエのドイツグラモフォン時代の録音の中でも殊更評価が高く、ステレオLP時代を通じて、ロストロポーヴィチ/カラヤン盤(ドイツグラモフォン)と並び最高の名演とされていた1961年録音の歴史的名盤です(フランスADFディスク大賞、ドイツ・レコード批評家賞受賞)。これは1975年に再販プレスされたもの。プロダクト品番34-27348レコード番号2535 106作曲家アントニン・ドヴォルザーク演奏者ピエール・フルニエオーケストラベルリン・フィハーモニー管弦楽団指揮者ジョージ・セル録音種別STEREO コンディションジャケット状態M-レコード状態M-製盤国DE(ドイツ)盤通販レコード品番34-27348販売価格¥4,400(税込) 詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。 https://recordsound.jp/analogsound/index.php?mode=detail&gid=27348 「クレジットカード決済」「銀行振込」「代金引換」に対応しております。 (さらに…)...
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強烈な芸風が作品の意外な魅力を引き出している◉ピアノを弾く詩人☆サンソン・フランソワ ショパン 24の前奏曲集

強烈な芸風が作品の意外な魅力を引き出している◉ピアノを弾く詩人☆サンソン・フランソワ ショパン 24の前奏曲集

通販レコードのご案内本能的、直感的ともいわれ、興に乗ったときの素晴らしさ。《日本企画盤》JP 東芝音楽工業 AA8047 サンソン・フランソワ ショパン 24の前奏曲集&4つの即興曲集 Chopin 24 PRELUDES/4 IMPROMPTUS ピアノを弾く詩人とも評されたフランソワ。彼にもっともフィットしたのがショパンの演奏でした。  演奏は天才フランソワだけに名演、卓越した技量を持ち合わせていたのは隠しようがないところですが、いささかも技巧臭を感じさせることはなく、その演奏は、即興的で自由奔放とさえ言えるものだ。フランソワの特徴は、ムラ気なことであった。気分が乗らないときの演奏は、呂律が回らないほどであり、気分の良し悪しによる演奏の出来栄えの差が大きかった。が、性格的にも非常に古い芸術家タイプの人間であったので、後年程のくずれた感じは無く一曲、一曲に集中力を感じさせます。  テンポの緩急や時として大胆に駆使される猛烈なアッチェレランド、思い切った強弱の変化など、考え得るすべての表現を活用することによって、独特の個性的な演奏を行っている。「デカダンス」という言葉の似合う天才でした。そうした印象が先行しますが、一聴すると自由奔放に弾いているように聴こえる各旋律の端々には、フランス人ピアニストならではの瀟洒な味わいに満ち溢れたフランス風のエスプリ漂う情感が込められており、そのセンス満点の味わい深さには抗し難い魅力に満ち溢れている。自己主張をコントロールして全体を無難に纏めようなどという考えは毛頭なく、強烈な個性でショパンの名曲を、我が曲のように弾きあげていく。  ショパン弾きと称されているピア二ストは数多く存在しているが、その中でも、サンソン・フランソワは最も個性的な解釈を披露したピアニストの一人ではないかと考えられるところだ。稀代のショパン弾きであったルービンシュタインによる演奏のように、安心して楽曲の魅力を満喫することが可能な演奏ではなく、あまりの個性的なアプローチ故に、聴き手によっては好き嫌いが分かれる演奏とも言えなくもないが、本能的、直感的ともいわれ、興に乗ったときの素晴らしさは他に類を見ないもの。  酒・煙草・ジャズをこよなく愛し、不健康な生活の果てに46歳の若さで逝ってしまったフランソワですが、残された録音はまさにお宝の山。フランソワといえばショパンが人気で、現代のショパン演奏からは大きくイレギュラーですが、こだわりを捨ててピアノ名曲に酔いしれようじゃないですか。《4つの即興曲》も第2面に加えていますから、日本企画盤ですが音質は素晴らしい。 通販レコード詳細・コンディション、価格プロダクトレコード番号AA8047作曲家フレデリック・ショパン演奏者サンソン・フランソワ録音種別STEREO 販売レコードのカバー、レーベル写真 東芝音楽工業(赤盤), 160g重量盤, 国内企画 YRJ-1130/1 使用盤コンディションジャケット状態M-レコード状態EX++製盤国JP(日本)盤詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。  オーダーは 品番 / 34-23875 販売価格 3,300円(税込) (さらに…)...
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高麗青磁の危ういまでにつきつめた美しさ*チョン・キョンファ ラドゥ・ルプー フランク/ドビュッシー・ヴァイオリンソナタ

高麗青磁の危ういまでにつきつめた美しさ*チョン・キョンファ ラドゥ・ルプー フランク/ドビュッシー・ヴァイオリンソナタ

通販レコードのご案内 天に向かって音符がカーブを描いている。《英ナローバンド ED4 盤》GB DECCA SXL6944 チョン・キョンファ フランク/ドビュッシー・ヴァイオリンソナタ ティボーは別格として、ここには絶好調の頃の彼女の壮絶な美しさがある。その切れるような美意識と鮮やかな情感で光の中を駆け抜けるように通り過ぎていく音楽。チョン・キョンファ(鄭京和)、29歳の時に録音されたこのソナタ2曲は少々線の細い音質ではあるが女性的な繊細さと彼女ならではのダイナミックさが感じられる。  鄭京和が日本に登場したのは1971年のプレヴィン指揮ロンドン交響楽団来日公演のソリストとして前年に DECCA に録音したばかりのデビュー・アルバム、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を引っさげての登場だった。東洋人の少女が世界レーベルで録音したことは、当時においては眼を見張ることだった。日本からも多くの若手ヴァイオリニストを輩出していたものの、ヨーロッパのメジャー・オーケストラとの共演、ましてレコーディングなどは、まだまだ考えにくかったから当時の日本の音楽関係者は必ずしも韓国の新進女性ヴァイオリニストを素直には歓迎できなかったようです。  しかし「レコード芸術」等の音楽雑誌に掲載されたチョン・キョンファに関する記事を読んでいて感じたものは、諏訪内晶子さんがチャイコフスキー国際コンクールで優勝し蘭PHILIPSから素敵なレコードが発売された時も似ていた。何かと嫉妬もあるのでしょうが、『音楽家』として見れないものでしょうかね。  1977年ロンドンでの録音。この演奏は、まさに高麗青磁の危ういまでにつきつめた美しさを想わせるものです。ラドゥ・ルプーのピアノがまたとてもよい。ヴァイオリンの音色に寄り添うことに徹底している。その暖かい和声の光は、冷たいまでに硬質で精密な肌合いのチョンの美音をほのかに浮かび上がらせる。そして、そのリリシズムに満ちた響きが、次第にチョンの感情を高ぶらせ激情に狂わせているのです。  だからといって、その音楽はあくまでも気高く気品に満ちています。それがドビュッシーだから尚更感じられることになったのでしょうが、これがリードとサポートでしょう。 通販レコード詳細・コンディション、価格  チョン・キョンファ29歳の時に録音された、高麗青磁の危ういまでに線の細い硬質な音質ではあるが女性的な繊細さと彼女ならではのダイナミックさが感じられる。チョン・キョンファ絶頂期のフランスもの。 フランクのソナタは彼女のお気に入りの曲で、2017年に70歳を記念して発売されたアルバムでも披露しています。1977年5月ロンドン、キングズウェイ・ホールでの録音。クリストファー・レーバーンのプロデュース、コリン・ムーアフットとジョン・ペロウの録音。プロダクトDECCA SXL6944 - Kyung-Wha Chung, Radu Lupu, César Franck, Claude Debussy ‎– Franck - Sonata In A Mojor For Violin And Piano, Debussy - Sonata For Violin And Pianoレコード番号SXL6944作曲家セザール・フランク クロード・ドビュッシー演奏者チョン・キョンファ ラドゥ・ルプー録音種別STEREONARROW BAND ED4, STEREO 1枚組(110g), Release 1980, Stamper 1G/1G。 コンディションジャケット状態M-レコード状態EX++製盤国GB(イギリス)盤《SXL ナローバンド》ED4 スモール・ラベルと日頃は呼んでいます。ED1 から比べると中央の「FULL FREQUENCY ...」の幅が狭くなり重量も軽くなります。ナローバンドが初版になる LP も多くあり、製盤技術、材質は安定していて再生の難しい ED1 と比べて再発盤でも初版より優れているケースも有ります。SXL 6435 と 6447 、6449 以降はナローバンドが初版となります。総じて価格は手頃ですが、SXL6529(メータ指揮ロス・フィル 「惑星」)、SXL6721(チョン・キョン・ファ バッハ パルティータ)等は高額です。この2枚はジャケットの痛みが激しくても一度は手元に置きたいと思うものなのでしょう。通販レコード詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。  オーダーは 品番 / 34-24958 販売価格 10,000円(税別) ドビュッシー( Claude Debussy )は1862年生まれ。1918年没。フランスの作曲家。印象主義音楽の創始者。ワグネリアンで、マラルメなど象徴派詩人たちと接していた。中世の旋法、5度7度の組み合わせ、全音音階等独創的な音色とリズムを獲得し、ロマン派音楽から脱却、新しい世界を切り開いた。 鄭京和( CHUNG KYUNG-WHA )は韓国・ソウル出身の女性ヴァイオリニスト。12歳で渡米し、ジュリアード音楽院に学ぶ。67年、19歳でエドガー・レヴェントリット国際コンクールに優勝。以降、国際的な舞台へ飛び出して活躍。英〈デッカ・レコード〉と録音契約を結び、年に100回以上の演奏会を行なうトップ・ヴァイオリニストへと成長。だが、2005年に指の怪我により長期療養を余儀なくされるも、2011年12月に復帰。2013年6月には15年ぶりの来日リサイタル公演を開催、2015年にも来日公演を行なう。2016年に『バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』をリリース。 (さらに…)...
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神々総登場*ロンドン、フラグスタート、ショルティ指揮ウィーン・フィル ワーグナー・ラインの黄金&ワルキューレ名場面集

神々総登場*ロンドン、フラグスタート、ショルティ指揮ウィーン・フィル ワーグナー・ラインの黄金&ワルキューレ名場面集

50年前の録音というのに驚く、レコード録音のプロジェクトX。アイデアと工夫と手間を注ぎ込んで、人の手で創造された虹のかけ橋の場面は是が非でも聴いて欲しい。 ステレオ録音黎明期(れいめいき)の最高傑作。それには人が考えうるアイデア力と、蓄積された技術力が創りあげた至芸だろう。そして半世紀前の仕事が、今日も誰かを驚かせ魅了しているだろう。  ニーベルングの指環は人類史の一時代が没落してゆく、その発端、その過程、その結末を描いた物語だ。神々の王、ヴォータン(ギリシャ・ローマ神話ではジュピター)は世界の叡智を己がものにしたい知識欲から槍の柄を削り出した世界樹を枯らしてしまい、魔法を作り出す力を持つ地底の王アルベリヒは愛欲を否定され、ラインの河底に潜在していた黄金を強奪し、愛を呪って魔法の指環を作り上げます。ワーグナーは指環によって、愛を失い、権力と富のみを追い求める19世紀の資本主義社会を批判したわけですが、その批判は21世紀の現代にもピッタリ当てはまります。つまり指環には、世界没落の発端は自然収奪・破壊にあるという、毎日紙上を賑せているテーマをワーグナーは19世紀に警笛を鳴らしていたと云えるのです。  この壮大なオペラをレコード録音で再現したい。そうして企てたクナッパーツブッシュによる、1951年バイロイトでの「指環」全曲ライヴ録音のリリースを断念したカルーショーは、スタジオ録音を計画。まず、1957年10月「ワルキューレ」からその録音は始まったが、クナッパーツブッシュはカルーショー・チームに非協力的で結局カルーショーは断念。クナッパーツブッシュで全4部作録音を企てた目論見は空中分解。その時のクナッパーツブッシュによる『ワルキューレ』第1幕の録音だけはレコード・リリースされたが、大指揮者から視野を変えて、改めてショルティに白羽の矢を立て本セットの第3幕をテスト録音した結果、出来上がりは上々。最終的にショルティを指揮者に据え、レコード録音の偉業と讃えられた英デッカ社の「指環」全曲録音は進められた。  ショルティで開始した録音は、《ラインの黄金》、《ジークフリート》、《神々の黄昏》と来て、最大の目玉《ワルキューレ》に至るまで足かけ8年の歳月を費やしてデッカによってスタジオ制作された。当然社運をかけたプロジェクト。その最初の「ラインの黄金」は、ワルキューレ第3幕のテスト録音と同様、録音、臨場感、演奏全てが満足できる域に達していることは言うまでもない。  クライマックスで神々が虹の橋を渡ってピカピカの城入りするが、今ではデジタル技術でサラウンド効果を感じさせられますが、虹の橋がかかる様子を限られたマイクで見事に表現。数本のマイクを順番にスイッチを切り替えることで、音が広がっていくように聞こえる効果を出す工夫に脱帽する。冒頭の地の底から湧いて出るライン川の始まりでは、スコア通りのコントラバスだけでは効果が出ない。これはバイロイト祝祭歌劇場だから出る迫力だが、重低音の低周波を重ねることで実現した。等々、考えうる限りを尽くした、この最初のライン黄金の成功がなかったなら全曲完成は夢に終わったと云えましょう。そうした英デッカ社の史実を連想しながら試聴すると興味深いです。貴方の部屋が写真のウィーンのソフィエンザールの録音セッション会場に様変わりするくらい鮮明な録音です。   ワーグナー歌手に事欠かなかった時代だったが、過ぎ行く年月は統べなく歌手を同じくするのは至難なことだ。8年間の長丁場は、キャスティングの面でも紆余曲折あり、フリッカにヴァルナイを頼んだが断られてルードヴィヒに頼んだとか。わたし個人的にはジークフリートでのサザランドは全四部作中でも良く楽しんでいる箇所。 通販レコードのご案内「ワルキューレ」には異盤がある。《英ワイドバンドED1オリジナル盤》GB DECCA SXL2230 ショルティ ワーグナー:ラインの黄金&ワルキューレ(ハイライト) 前述したように足掛け8年かけて最後に「ワルキューレ」が発売された。歌手名に注意してなければ、リング全作品録音からの編集版だと早とちりしてしまいそうだが、本盤は1960年にステレオ盤で発売された。「ラインの黄金」は1958年9月にウィーン、ゾフィエンザールでのセッション録音。  実はカルショー製作の「リング」の全曲のテスト録音があった。1957年10月「ワルキューレ」からその録音は始まったが、クナッパーツブッシュは第1幕の録音だけで終わったために、改めてショルティに白羽の矢を立て本セットの第3幕をテスト録音した。本盤はリリースが決まっていた「ラインの黄金」とテスト録音しておいた「ワルキューレ」からデモンストレーション効果を狙ってリリースした。その選ばれた箇所は個性的だ。そして、それぞれのオペラから選りすぐられた名場面だ。ストーリーを追う、つまみ食いではないのでじっくりと仕上がりぶりが味わえる。  本盤の第1面は、「ラインの黄金」からのハイライト。第3場の〝地底の国の場面〟とフィナーレの〝虹のかけ橋からワルハラ城への神々の入城〟。デッカのソニック・ステレオの迫力満点。第2面は、「ワルキューレ」からのハイライト。第3幕の〝ワルキューレの騎行〟と、〝ウォータンの別れ〟。ショルティ&カルショーの有名なソフィエンザールのリングの録音の前に、ムジークフェラインホールで1957年録音された。効果音もなく、ワルキューレの騎行でヘルムヴィーゲが吹っ飛ぶような実際の舞台では不可能な過度と思える演出のない、〈ムジークフェラインの名録音〉に数えられているプレーンな録音で自然です。ホッターではなく、エーデルマンのウォータンも素晴らしい。プロデュース:ジョン・カルショー、エンジニア:エリック・スミス&ジェイムズ・ブラウン。優秀録音、名演、名盤 通販レコード詳細・コンディション、価格Wagner ‎– Highlights From Das Rheingold And Die Walküre - Decca ‎– SXL2230プロダクトレコード番号SXL2230作曲家リヒャルト・ワーグナー演奏者ジョージ・ロンドン オットー・エーデルマン キルステン・フラグスタート グレース・ホフマン アニー・デロリー マルガリート・ベンス ヘティ・プルマシャー クレア・ワトソン ヴァルデマール・クメント エバーハルト・ヴェヒター セット・スヴァンホルム パウル・クーエン ジーン・マデイラ グスタフ・ナイトリンガー ヴァルター・クレッペル クルト・ベーメオーケストラウィーン・フィルハーモニー管弦楽団指揮者ゲオルク・ショルティ録音種別STEREO 販売レコードのカバー、レーベル写真 WIDE BAND WITH GROOVE ORIGINAL RECORDING BY DECCA ED1, STEREO 1枚組(140g), Release 1960, Stamper 2E/2E。コンディションジャケット状態M-レコード状態M-製盤国GB(イギリス)盤通販レコード詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。  オーダーは 品番 / 34-25376 販売価格 19,800円(税込) 「クレジットカード決済」「銀行振込」「代金引換」に対応しております。 (さらに…)...
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未開封盤 ― 名曲、名演、名録音を満喫◉デニス・ブレイン、カラヤン指揮フィルハーモニア管 モーツァルト・ホルン協奏曲

未開封盤 ― 名曲、名演、名録音を満喫◉デニス・ブレイン、カラヤン指揮フィルハーモニア管 モーツァルト・ホルン協奏曲

名手デニス・ブレインとカラヤンが残したモノラル時代の人気盤です。 ホルン奏者の中でも、いまだに別格的存在とされるブレイン。絶妙なフレージングとスケール感、驚くほどしなやかな音色、テンポに対する感覚とメロディの歌わせ方、どれをとっても現在まで語り継がれる理由のわかる、20世紀を代表する名手の快演です。すべてのホルン奏者が憧れる完璧なモーツァルトです。JP 東芝EMI EAA154 デニス・ブレイン/カラヤン/フィルハーモニア管 モーツァルト/ホルン協奏曲 それから、カラヤンのバックも絶品。SPレコードでも発売されてもいるようですが、テープ録音が始まった時期でもあって、未だに判断がついていないレコード。甘くメロウな響きに絶句。ブレインの持ち味でもあろうが、ブレインの音は、とにかく圧倒的に“甘い”。それがいつも以上に感じられるのは、カラヤンのサポートで魅力を増しているのか、録音時に魔法でも起こったのか。このレコードを初めて聴いてから、モーツァルトの生涯最後の曲であることもあって、数々の名手の演奏を聴きこんできました。ゲルト・ザイフェルト、アラン・シヴィル、ペーター・ダム、ヘグナー、タックウェル、クレヴェンジャー、ティルシャルなど、いずれ劣らぬ個性的な名演を披露してはいるが、本盤の演奏の持つ独特の魅力には及んでいるものはないと今もっても断言します。それほど、SPレコード録音とは信じがたい豊かさがある。1953年11月12〜13日ロンドン、キングズウェイ・ホール録音。オーダーはリンク先の詳細掲載ページで 販売レコードのカバー、レーベル写真 東芝EMI製, STEREO (原盤モノーラルですが電気ステレオに変換盤), 未開封盤。《エンジェル・ベスト100(ANGEL BEST 100)》名称時代推移として1955年10月東芝の前身東京芝浦電気が音楽レコード事業に参入。同社がレコード事業を開始後の数年間は、英EMI、米キャピトル原盤の音源は本国からの輸入メタル原盤からプレスしたソフトが多かった。1960年10月音楽レコード事業部門が分離独立して東芝音楽工業株式会社が設立。1971年10月静岡県御殿場市に最新鋭の生産機能を取り入れた御殿場工場開設。1973年10月キャピトルEMIが資本参加、東芝イーエムアイ株式会社(東芝EMI)と改称。以上凡そのお手元のLPプレス時期御理解頂けると思います。本盤は1973年から1974年にかけて名曲100枚社名改称記念として発売。50/100までは「東芝音楽工業」51/100は「東芝EMI」と新旧会社でリリースしていました。其の頃の初出の未開封盤は貴重です。 プロダクト 品番34-25752商品名JP 東芝EMI EAA154 デニス・ブレイン/カラヤン/フィルハーモニア管 モーツァルト/ホルン協奏曲レコード番号EAA154作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト演奏者デニス・ブレインオーケストラフィルハーモニア管弦楽団指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤン録音種別STEREO コンディション ジャケット状態Mレコード状態M製盤国JP(日本)盤 通販レコード詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。オーダー番号34-25752通常価格3,000円(税込) (さらに…)...
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