【歴史的音盤】反復を敢行した最初の録音◉メンゲルベルク指揮ニューヨーク・フィル◯ベートーヴェン・交響曲3番《英雄》

【歴史的音盤】反復を敢行した最初の録音◉メンゲルベルク指揮ニューヨーク・フィル◯ベートーヴェン・交響曲3番《英雄》

通販レコードのご案内盤を裏返したらまた同じ音楽が流れてきた! プレスのミスか? いやいや、『英雄』の第1楽章提示部の反復を敢行した最初の録音。【SP盤】GB HMV D.B.1599 WILLEM MENGELBERG Beethoven SYMPHONY No.3 IN E FLAT MAJOR, Op.55 ("EROICA") 収録曲は、ベートーヴェン作曲の交響曲第3番《英雄》。1930年録音。D.B.1599, D.B.1600, D.B.1601, D.B.1602, D.B.1603,D.B.1604, D.B.1605 7枚が揃っています。  メンゲルベルクを聴くなら後年のアムステルダム・コンセルトヘボウとのもの、一般的にはそう思われている。しかしながら、このニューヨーク時代も十分に個性的であり、完成度の高いものだということがわかる。音質に関しても、強いハム音が混入したりして、ばらつきのあるテレフンケン盤に比べれば、この英 H.M.V.の録音の方がずっと安定している。  ウィレム・メンゲルベルクは19世紀末から20世紀半ばにかけて活躍したオランダの大指揮者であり、トスカニーニ、ワルター、フルトヴェングラーを含むいわゆる「四大巨匠」の一人である。彼は必要とあらば楽譜上の指示を自己流に変更し、お馴染みの作品から瞠目すべきニュアンスを引き出して音楽的効果を上げる達人だった。そのロマン主義的なスタイルと、細部の表現に徹底してこだわる奏者泣かせの名人芸は、多くの音楽ファンを魅了し、一時代を築いた。  ウィレム・メンゲルベルクは1871年3月28日にオランダのユトレヒトに生まれ、オランダとドイツで音楽教育を受け、1891年にルツェルン市立管弦楽団の指揮者に就任。1895年にアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の指揮者に就任してからは、50年間の長きにわたってこのオーケストラを一流の演奏集団に育て上げた。1920年代にはニューヨーク・フィルの指揮台にも立ち、絶大な影響力を及ぼしたが、最終的にはアルトゥーロ・トスカニーニとの権力闘争に敗れ、ポストを明け渡している。戦後は不遇で、戦時中ナチスの招待を受けてドイツやフランスで指揮したため糾弾され、指揮活動を禁じられた。その後スイスに移住し、1951年3月22日に亡くなった。  「英雄」は後年のテレフンケン盤が有名だが、こちらも捨てがたい。同時期録音のEMI盤などと比べても、音は比較的良い。演奏もメンゲルベルク的特徴は随所に聴かれるが、それでも結構端正で驚いた。テンポは常に揺れているが、テレフンケン盤のように不自然ではないし、フレーズの処理や、トランペットの扱いが特徴的な管楽器の音色など、まさにメンゲルベルクそのものです。また、テレフンケン盤や同時期のライヴ録音よりも、ずっと若々しいのも魅力だ。なお、この時代に第1楽章の提示部が繰り返されているのは、非常に珍しく、テレフンケン盤では反復は行われていない。通販レコード詳細・コンディション、価格プロダクト商品名【SP盤】GB HMV D.B.1599 WILLEM MENGELBERG Beethoven SYMPHONY No.3 IN E FLAT MAJOR, Op.55 ("EROICA") レコード番号D.B.1599, D.B.1600, D.B.1601, D.B.1602, D.B.1603,D.B.1604, D.B.1605作曲家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンオーケストラニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団指揮者ウィレム・メンゲルベルクレコード状態EX製盤国GB(イギリス)盤販売価格・品番リンク1st Movement -Allegro con brio (1st Record)/(2nd Record)"LARGE DOG IN SEMI-CIRCLE" WITH GOLD LETTERING, 78s 1枚組(300g)。オーダー番号34-18340特別価格2,200円(税込)通常価格2,750円(税込)1st Movement -Allegro con brio (3rd Record)/(4th Record)"LARGE DOG IN SEMI-CIRCLE" WITH GOLD LETTERING, 78s 1枚組(320g)。オーダー番号34-18339特別価格2,200円(税込)通常価格2,750円(税込)1st Movement -Allegro con brio (5th Record)/2nd Movement -Marcia funebre -Adagio assai (1st Record)"LARGE DOG IN SEMI-CIRCLE" WITH GOLD LETTERING, 78s 1枚組(290g)。オーダー番号34-18338特別価格2,200円(税込)通常価格2,750円(税込)2nd Movement -Marcia funebre -Adagio assai (2nd Record)/(3rd Record)"LARGE DOG IN SEMI-CIRCLE" WITH GOLD LETTERING, 78s 1枚組(300g)。オーダー番号34-18337特別価格2,200円(税込)通常価格2,750円(税込)2nd Movement -Marcia funebre -Adagio assai (4th Record)/3rd Movement -Scherzo -Allegro vivace (1st Record)"LARGE DOG IN SEMI-CIRCLE" WITH GOLD LETTERING, 78s 1枚組(320g)。オーダー番号34-18363特別価格2,200円(税込)通常価格2,750円(税込)3rd Movement -Scherzo -Allegro vivace (2nd Record)/4th Movement -Finale -Allegro molto (1st Record)"LARGE DOG IN SEMI-CIRCLE" WITH GOLD LETTERING, 78s 1枚組(300g)。オーダー番号34-18362特別価格2,200円(税込)通常価格2,750円(税込)4th Movement -Finale -Allegro molto (2nd Record)/(3rd Record)"LARGE DOG IN SEMI-CIRCLE" WITH GOLD...
Read More
強烈な芸風が作品の意外な魅力を引き出している◉ピアノを弾く詩人☆サンソン・フランソワ ショパン 24の前奏曲集

強烈な芸風が作品の意外な魅力を引き出している◉ピアノを弾く詩人☆サンソン・フランソワ ショパン 24の前奏曲集

通販レコードのご案内本能的、直感的ともいわれ、興に乗ったときの素晴らしさ。《日本企画盤》JP 東芝音楽工業 AA8047 サンソン・フランソワ ショパン 24の前奏曲集&4つの即興曲集 Chopin 24 PRELUDES/4 IMPROMPTUS ピアノを弾く詩人とも評されたフランソワ。彼にもっともフィットしたのがショパンの演奏でした。  演奏は天才フランソワだけに名演、卓越した技量を持ち合わせていたのは隠しようがないところですが、いささかも技巧臭を感じさせることはなく、その演奏は、即興的で自由奔放とさえ言えるものだ。フランソワの特徴は、ムラ気なことであった。気分が乗らないときの演奏は、呂律が回らないほどであり、気分の良し悪しによる演奏の出来栄えの差が大きかった。が、性格的にも非常に古い芸術家タイプの人間であったので、後年程のくずれた感じは無く一曲、一曲に集中力を感じさせます。  テンポの緩急や時として大胆に駆使される猛烈なアッチェレランド、思い切った強弱の変化など、考え得るすべての表現を活用することによって、独特の個性的な演奏を行っている。「デカダンス」という言葉の似合う天才でした。そうした印象が先行しますが、一聴すると自由奔放に弾いているように聴こえる各旋律の端々には、フランス人ピアニストならではの瀟洒な味わいに満ち溢れたフランス風のエスプリ漂う情感が込められており、そのセンス満点の味わい深さには抗し難い魅力に満ち溢れている。自己主張をコントロールして全体を無難に纏めようなどという考えは毛頭なく、強烈な個性でショパンの名曲を、我が曲のように弾きあげていく。  ショパン弾きと称されているピア二ストは数多く存在しているが、その中でも、サンソン・フランソワは最も個性的な解釈を披露したピアニストの一人ではないかと考えられるところだ。稀代のショパン弾きであったルービンシュタインによる演奏のように、安心して楽曲の魅力を満喫することが可能な演奏ではなく、あまりの個性的なアプローチ故に、聴き手によっては好き嫌いが分かれる演奏とも言えなくもないが、本能的、直感的ともいわれ、興に乗ったときの素晴らしさは他に類を見ないもの。  酒・煙草・ジャズをこよなく愛し、不健康な生活の果てに46歳の若さで逝ってしまったフランソワですが、残された録音はまさにお宝の山。フランソワといえばショパンが人気で、現代のショパン演奏からは大きくイレギュラーですが、こだわりを捨ててピアノ名曲に酔いしれようじゃないですか。《4つの即興曲》も第2面に加えていますから、日本企画盤ですが音質は素晴らしい。 通販レコード詳細・コンディション、価格プロダクトレコード番号AA8047作曲家フレデリック・ショパン演奏者サンソン・フランソワ録音種別STEREO 販売レコードのカバー、レーベル写真 東芝音楽工業(赤盤), 160g重量盤, 国内企画 YRJ-1130/1 使用盤コンディションジャケット状態M-レコード状態EX++製盤国JP(日本)盤詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。  オーダーは 品番 / 34-23875 販売価格 3,300円(税込) (さらに…)...
Read More
20世紀で最も美しいピアノ*ロベール・カサドシュ フランスらしい気品を持ち合わせながらも己に酔うことなくスタイリッシュ

20世紀で最も美しいピアノ*ロベール・カサドシュ フランスらしい気品を持ち合わせながらも己に酔うことなくスタイリッシュ

Robert Casadesus 1899.4.7-1972.9.19フランスのピアニスト、ロベール・カサドシュが没した日(1972年9月19日)。フランスらしい気品を持ち合わせながらもその演奏は、己に酔うことなくスタイリッシュなのが特徴である。ドビュッシーやラヴェルはもちろん、モーツァルトも得意とし、他にも厳格なドイツものにも造詣が深かった。音楽一家に生まれ、甥のジャン=クロードは指揮者であり、その孫であるトーマス・エンコは現在ジャズピアニストとして活躍している。 通販レコードのご案内DE CBS 77346 カサドシュ ラヴェル・ピアノ曲全集 カサドシュは既に定評の有るモーツァルトとラヴェルを最も重要なジャンルの作品に据えていたのではと思いたくなるレコード。清楚で淡々と演奏していて、常にスタイリッシュです。いわゆる、ソリストとしては絶対に必要な「俺が俺が」と言って前面に出ていく強さがほとんど感じられない、最初から最後までカサドシュの美学の中で事は進んでいくように思えます。 カサドシュは些細な事に拘らない美学が見え隠れする名演を、“20世紀で最も美しいピアノの音色”で常に聴かせます。 Maurice Ravel - Robert Casadesus ‎– Piano Music of Ravel第1集 ABL.3012亡き王女のためのパヴァーヌシャブリエ風にボロディン風に鏡第2集 ABL.3046組曲「マ・メール・ロワ」ハバネラ水の戯れ夜のガスパール第3集 ABL.3062組曲「クープランの墓」高雅で感傷的なワルツ前奏曲ハイドンの名によるメヌエット「ドビュッシーの音楽はショパンから派生し、ラヴェルの音楽はリストから派生する」とは、カサドシュのインタヴューに応えた言葉が由来です。 カサドシュの録音は登場時から、その客観性をいわれ演奏の古典となったものでしたが、特質はフランス的なもの。全体に快速なテンポで軽いタッチで弾き流しており、最近の演奏家が陥りがちな印象派風なべとべとした演奏とは一線を画します。組曲「クープランの墓」でのクラヴサンの音楽の伝統が連綿と綴る音のアラベスクは、緻密に向かう性向があるカサドシュに合っている。緻密、端正というだけでは割り切れない作品の多層があるのです。典雅な香りや、知的なのにどこか遊び、ペーソスをもっていても嫌味にならない。古典的たたずまいが典雅と両立しているものは非常に稀なことです。  作曲者と親交のあったカサドシュだけに、そこに込められた豊かなニュアンスには強い説得力があり、美しい音色がとても魅力的です。カサドシュのレパートリーは決して広くなく、むしろ適した曲目はきわめて限られたものでした。そのレパートリーにはドイツ音楽も多く、まさに形から入るラヴェルに適性を示します。LP 期、多くのものが再録を行ってきましたが、ラヴェルの独奏曲は時間的にも体力的にも余力があったにも関わらず、このモノラルの録音のみです。つまりはそれだけ、当録音が高い精度を達成していたということでしょう。音質はモノラルとしては最上の部類で鑑賞には支障ありません。ステレオ録音盤はありません。 【ロベール・カサドシュのプロフィール】1899年パリに生れたカサドシュ(Robert Casadesus, 1899年4月7日〜1972年9月19日)は1922年からラヴェルと共同でピアノロールの録音を行い、欧州各地でラヴェルと共演した経歴を持つ。大戦中アメリカへ亡命した事もあって、米 Columbia に多くの録音を残した、これも米録音。彼の抑制の効いた古典的様式は彼の後、続く者が現れなかった。M.アース、C.エルフェ等を輩出。仏ピアノ界の重鎮的存在。一聴は大人しいが、その美しさは絵画的。指の回るピアニストは多くなったものの、カザドシュのように知的で香りたつような洗練された感性をもつピアニストはまったく少なくなってしまった。 オーダーはリンク先の詳細掲載ページで品番 / 34-22215販売価格6,600円(税込) (さらに…)...
Read More
名曲名盤縁起 アラウのバッハ演奏から発散された明るい香気 J.S.バッハ〜パルティータ第2番より「サラバンド」

名曲名盤縁起 アラウのバッハ演奏から発散された明るい香気 J.S.バッハ〜パルティータ第2番より「サラバンド」

南米出身の名ピアニスト・アラウ没 ― 1991年6月9日 誰が決めたかは定かで無いが、「南米生まれの3大ピアニスト」がいる。アルゼンチンのマルタ・アルゲリッチとダニエル・バレンボイム、そして1991年の今日他界したチリのクラウディオ・アラウだ。アラウは十代前半でヨーロッパに渡り、ベルリンの音楽院で才能を磨いたせいか、大得意にしたリスト以外では、モーツァルト、ベートーヴェン、シューマン、ブラームスと並ぶドイツ正統派のレパートリーに、ドイツ人以上にドイツ的な演奏を聴かせた。 パルティータ(Partita)【1726~31年作曲】  この作品は「イギリス組曲」や「フランス組曲」と同様、クラヴィーアのための大組曲集である。1726年から作曲され、個別に出版してきた作品を1731年にまとめて出版したと言われているがはっきりとは分かっていない。この作品は傑作として名高い上に演奏難度が高く、出版当時から多くの賞賛を得続けてきた。  例えば19世紀のバッハ研究の音楽学者であったフォルケルも「美しく、響き豊かで表情に富み、いつまでも新鮮さを失わない」と賞賛している。ちなみにパルティータとは組曲とほぼ同じ意味であるが、バッハ自身は組曲よりもパルティータの方がより自由度が高いものと考えていたようである。  アラウが最後に録音したのは、ドイツ音楽の開祖といえる大バッハの《パルティータ集》だったので、彼の白鳥の歌として第2番の「サラバンド」を聴こう(YouTube動画の13分51秒から)。バッハのパルティータは性格の異なる舞曲を幾つか並べた組曲形式の音楽。この「サラバンド」は荘重な音楽だが、どこかラテン的な趣がある。アラウの演奏から明るくほのかな香気が立ち上るのは、南米人ならではのリリシズムのせいであろう。 (さらに…)...
Read More
永遠の定番 モーツァルトを得意としているPHILIPSレーベルから イングリット・へブラーの名盤〜ソナタ、協奏曲

永遠の定番 モーツァルトを得意としているPHILIPSレーベルから イングリット・へブラーの名盤〜ソナタ、協奏曲

永遠に定番として君臨する演奏イングリッド・ヘブラーほど、その主要レパートリーをモーツァルトに特化して演奏をし続けているピアニストは稀であるといえよう。彼女自身モーツァルトと同じオーストリア出身と云うことも関係しているのかもしれません。 西欧の肖像画では衣装に細かく美しいレースの刺繍が施されている絵を多く見るが、ヘブラーの演奏はまさに細く輝く糸で精巧に編まれた刺繍細工を見ているような気持ちにさせてくれる。 まるでモーツァルトを際立たせるかのように、丹念に、丹念に彼の作品を美しく飾ることに専念している。音楽性と技巧をひたすらモーツァルトの音楽に奉仕させるという姿勢を貫いている。 録音セッションの合間の食事のときでも、ヘブラー心はここにあらず、さっさと自分の部屋に引き上げると、夜起き出して、ホールで自己鍛錬に集中するアーティストだ。その潔さとあくまでも古典派の音楽へのアプローチとしての自由自在な表現が円熟期を迎えた彼女の到達しえた解釈なのだろう。ただ1986〜1991年にデジタル録音された2度目のソナタ全集とは、LPレコード時代の1960年代の彼女の演奏は面持ちが違う。ここでのモーツァルトは決して枯淡の境地的なものではなく、むしろ清冽な響きで奏でた瑞々しい音楽が印象的だ。録音は素晴らしい、永遠に定番として君臨すると思います。通販レコードのご案内NL PHILIPS 6500 054 シェリング&ヘブラー モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタKV377,KV378モーツァルト弾きとして不動の地位を築いていたイングリッド・ヘブラーを招いて、これまた絶頂期のヘンリク・シェリングが、のびやかで美しい音色で聴かせるモーツァルト。この二人の演奏は激しさとかテクニックを誇示することなどとは全く無縁で、心躍るようなことはありません。実に音楽そのものの美しさを味わうことができます。【収録曲】 ヴァイオリン・ソナタ第33番 ヘ長調K.377 ヴァイオリン・ソナタ第34番 変ロ長調K.378オーダーはリンク先の詳細掲載ページで フィリップスの暖かい録音通販レコードのご案内NL PHILIPS A02322L イングリッド・ヘブラー モーツァルト ピアノソナタ選集第11番/第9番/第8番イングリット・ヘブラーは本盤1960年代フィリップスに録音したモーツァルトのピアノ作品全集の素晴らしさで知られている。刺繍職人の素晴らしい細工が、いつまでも輝きを放ち、色褪せることのないように、何の不足もない。ヘブラーの玉を転がすようなタッチが美しいし、フィリップスの暖かい録音もいい。録音はヘブラーが丹念に、さらに丹念に練習し、納得ゆくところで進められてゆく。彼女が練習の間はレコーディング・スタッフはただひたすら待つのみである。オーダーはリンク先の詳細掲載ページで スタインウェイ・ピアニストとしての面目躍如通販レコードのご案内NL PHILIPS 835 392AY ヘブラー&ディヴィス モーツァルト・ピアノ協奏曲13&11番ピアノ協奏曲全集は4人の指揮者と共演。エドゥアルト・メルクス、アルチェオ・ガリエラ、ヴィトルド・ロヴィツキ、コリン・デイヴィス。メルクスとは初期の協奏曲、ガリエラとの中期、ウィーンで自らもピアニストして演奏も披露した後期作品をロヴィツキとデイヴィスで分け合っている。ヘブラーの外連味のない、爽やかで健康的なアプローチ、実に堂々としたモーツァルトであることは、繰り返し聴いていて楽しいし、大変に貴重なものだ。幸福感一杯だ。コリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団との録音からは、カッチリとした、いかにもスタインウエイの音色がする。作品番号を追って聴くと、指揮者によってピアノの音色が異なることに気が付く。編成の規模も変わることによることもあろうが、ピアノ製造年代の違いによるものもあろうことかと、スタインウェイ・ピアニストとしての面目躍如をLPレコードに示し、残してくれたことが嬉しい。オーダーはリンク先の詳細掲載ページで (さらに…)...
Read More
生涯心と耳を感動させる☆プレミアム5選 バイロイトの第九 終戦を願うマタイ 女性ならではの切ない情念が包むブラームス

生涯心と耳を感動させる☆プレミアム5選 バイロイトの第九 終戦を願うマタイ 女性ならではの切ない情念が包むブラームス

20世紀の人類の遺産、バイロイトの第九。 通販レコードのご案内《仏LARGE DOG IN SEMI-CIRCLE盤》FR VSM FALP30048-49 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー エリザベート・シュワルツコップ エリザベート・ヘンゲン ハンス・ホップ オットー・エーデルマン バイロイト祝祭管弦楽団 ベートーヴェン:交響曲9番(1951年バイロイト音楽祭) 1951年7月29日、バイロイト祝祭劇場でのライヴ録音。通称「バイロイトの第九」はバイロイト音楽祭の戦後初開催の初日に行われた伝説の実況録音盤で、まさに20世紀の人類の遺産ともいうべきレコードです。英国盤(超高価)を除けば最も音質的評価の高いフランス盤、盤質も良好でこなれた価格のお勧め品。フランス・プレス盤、モノラル録音。1951年7月29日にバイロイト祝祭劇場でのライヴ録音。優秀録音、名演、名盤。 詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。 https://recordsound.jp/analogsound/index.php?mode=detail&gid=27453 破滅的な大戦争を前にして、この受難曲演奏会が最後となることを知っていたかのような、迫真の記録。 通販レコードのご案内《南アプレス盤、Minigrooveプラムレーベル》ZA PHILIPS A00150L ウィレム・メンゲルベルク カール・エルブ ウィレム・ラヴェリ ヨー・フィンセント イローナ・ドゥリゴ ルイ・ファン・トゥルダー ヘルマン・シャイ コンセルトヘボウ管弦楽団 アムステルダム・トーンクンスト合唱団 バッハ:マタイ受難曲 オランダの巨匠メンゲルベルクは、1895年にコンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者となって以来バッハの演奏に情熱を注ぎ、とりわけ「マタイ受難曲」を多く取り上げました。毎年復活祭に演奏する伝統は、第二次世界大戦勃発により途絶えてしまったそうです。これは第二次世界大戦直前の1939年4月2日の歴史的ライヴ録音。誰もが魂を揺さぶられる名演中の名演です。1952年発売のオリジナル、入手困難レア盤。珍しい南アフリカ共和国プレスですが音質クリアで問題ありません。ノイズは全体的にごく僅かな良好盤です。モノラル録音。1939年4月2日にアムステルダム、コンセルトヘボウでの録音。カルル・エルプ(テノール)、ウィレム・ラヴェッリ(バス)、ジョー・ヴィンセント(ソプラノ)、イローナ・ドゥリゴ(アルト)、ルイ・ファン・トゥルダー(テノール)、ヘルマン・シャイ(バス)、ピエト・ファン・エグモンド(オルガン)、ヨハンネス・デン・ヘルトグ(ハープシコード)、ルイ・ツィンマーマン(ヴァイオリン)、G.ブランハード(オーボエ・ダ・モーレ)、W.ペッデモルス(オーボエ・ダ・カッチャ)、フーベルト・バルワーザー(フルート)、ザンハルスト少年合唱団(合唱指揮:ウィレム・ヘスペ)。  メンゲルベルクがアムステルダム・コンセルトヘボウ管に君臨する1899年以来、毎年棕櫚の日曜日(復活祭直前の日曜日)に演奏されてきた「マタイ受難曲」。1939年4月2日の祝日にオランダ放送によって収録された、名演として名高いライブ録音です。この演奏は、バッハの演奏スタイルにおける、一昔前の、モニュメンタルでロマン派的な伝統を代表するものとはいえ、心の奥深いところで感動している精神性、痛切さ、共感を有するものです。あたかも、現場に居合わせた人全員が、1939年9月に欧州で勃発する破滅的な大戦争を前にして、この受難曲演奏会が最後となることを知っていたかのような、迫真の記録を聴くことができます。 昔から伝説的に語られていますが、第39曲の有名なアルトのアリア「憐れみたまえ、わが神よ、したたり落つるわが涙のゆえに」、第47曲「主よ、憐れみたまえ」で観客がすすり泣く声が入っています。それくらい異様な空気の中で演奏が進みます。演奏スタイルはロマンティックで、現代から見れば、モダン・オーケストラでの恣意的な演奏と取られても仕方がない類ですが、けして良いとは言い難い音質ともども物ともしない感動を呼びます。その時代背景を知れば、尚更その衝撃だけでも演奏が心に突き刺さり残ります。カール・リヒター盤と並んでこの曲最高の名盤、かつ人類の至宝とまで讃えられた逸品。イエスの受難と弟子たちの懊悩をここまで文学的に表出した演奏は唯一無二なものです。 SPレコード録音の時代ですが、イギリス、ドイツと同様、北海を挟んで向かい合うオランダでも兵器としての音響技術が進んでいた。このライブ録音は、フィリップス=ミラー録音システムが用いられている。この録音システムは、黒色に塗布されたセルロイドのフィルム上に、サファイア・ガラスの針で刻みこんで録音し、映写フィルム同様に読み取るものです。(映画のサウンドトラックに利用される方式とほぼ同じ)この方式により、当時の商業レコードである78回転SPレコード録音よりも長時間かつ、より広い周波数帯域の収録が可能となりました。 しかし、録音成果は完璧なものではありません。突然の電圧不安定によるものか音量レベルが変動したりも起こりますが、良い部分では、1950年代初期のテープ録音に匹敵する音質に達し、感動的な場面におけるメンゲルベルクの迫力を聴き取ることが可能です。 詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。 https://recordsound.jp/analogsound/index.php?mode=detail&gid=27452 前期ロマン派に対するクレンペラーのアプローチは素晴らしい。毅然として、べたつかない浪漫を感じます。 通販レコードのご案内《BLUE & SILVER オリジナル》GB COLUMBIA SAX2397 オットー・クレンペラー フィルハーモニア管弦楽団 シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレート」 クレンペラーならではの分厚く荘厳な、唯一無二の「ザ・グレート」。貴重なB/S初期盤、ノイズはごくわずかな良好盤です。しなやかさも感じられる各楽器の音色、バランスは鮮明でした。イギリス・プレス、オリジナル盤、ステレオ録音。1960年11月にロンドン、キングズウェイ・ホールでのセッション録音。プロデュースはウォルター・レッグ、エンジニアはクリストファー・パーカー。優秀録音、名演、名盤。  シューベルト交響曲第9番「ザ・グレイト」、シューベルトの交響曲の中でも「未完成」と肩を並べる名作交響曲。後に誕生した多くの交響曲に影響を及ぼした。シューベルトの死後、発見された「未完成」は、「名誉ディプロマ」を授与された返礼としてグラーツ楽友協会に贈ったが、劇付随音楽『ロザムンデ』に音楽を流用するため第3・第4楽章の楽譜の返還を求め、グラーツ楽友協会側は残りの楽章が送られてくるだろうからと引き出しの奥にしまい込まれていた。 シューベルトの死後から、10年。墓参をしたシューマンはウィーンのシューベルト宅を訪問した。故人の部屋を管理していた兄フェルディナントは死後そのままにシューベルトの仕事机を保管していた。シューベルトはあくまで歌曲や小規模な室内楽、ピアノ曲などを演奏する、気心知れた仲間内の演奏会「シューベルティアーデ」の作曲家という認識しか持っていなかったシューマンは、その机の上にあった長大な交響曲を発見し、シューベルトを歌曲の作曲家と見ていた自らの認識を覆すその作品に驚愕した。1826年に完成された、同曲はウィーン楽友協会へ献辞を添えて提出されていたが、演奏困難との理由で演奏されることはなかった。演奏されるのを待つばかりの楽譜は、シューベルトの仕事机の上にそのままあった。 指示通りに演奏しても60分以上かかる大曲であり、シューマンは曲をジャン・パウルの小説にたとえ、「すばらしい長さ (天国的な長さ)」と賞賛している。シューマンはぜひこれを演奏したい、とメンデルスゾーンのもとに楽譜が届けられた。1838年3月21日、メンデルスゾーンの指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏によって、この交響曲は初演された。 シューベルトの死後から、10年。ベートーヴェンを尊敬してやまなかったシューベルト、渾身の交響曲はついに音となり、鳴り響いた。ベートーヴェンの交響曲の規模の大きさと力強さとを受け継ぎ、彼独自のロマン性を加えて完成された作品となっており、後のブルックナー、マーラー、20世紀のショスタコーヴィチなどの交響曲につながっている。 20世紀を代表する巨匠クレンペラーがフィルハーモニアと贈るシューベルトの大人気交響曲。クレンペラーが得意としたマーラーやブルックナーの交響曲に匹敵する長大な交響曲である「ザ・グレイト」は、重厚的かつバランス良く奏でられる。覇気がある演奏で、曲の存在感はより大きいものとなっている。ホルン2本のユニゾンでおおらかに始まる第1楽章の開始部分は、シューマンの交響曲第1番『春』やメンデルスゾーンの交響曲第2番、ブラームスのピアノ協奏曲第2番のモデルとなっている。リズミカルなモチーフを主体として主題が構成されている主部は、尊敬してやまなかったベートーヴェンの特に交響曲第7番と多くの共通点を持つ一方で、大胆な転調や和声進行にシューベルトらしさが満ちあふれている。第3楽章はスケルツォ、後のブルックナー後期作品を思わせるような息せき切るような主部の旋律と、シューベルトらしい旋律に溢れた雄大な中間部トリオの対照が効果的である。長大な最終楽章。この楽章ならではのオスティナートと強弱のコントラスト、激しい転調に特徴があり非常に急速で息を付かせない。旋律にはベートーヴェンの交響曲第9番の「歓喜の主題」が改変されて引用されており、ベートーヴェンに対するオマージュと考えられる。 詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。 https://recordsound.jp/analogsound/index.php?mode=detail&gid=27454 語り継がれていく名盤 ― 聴き手の心を震わせる、誉れ高き名盤。 通販レコードのご案内《英プレス盤 SEMI-CIRCLE ANGEL》GB ANGEL ANG35137 ヨハンナ・マルツィ パウル・クレツキ フィルハーモニア管弦楽団 ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 マルツィの代表的な名盤で、英COLUMBIA盤はコレクターズ・アイテムとして有名な高額盤。このANGEL盤は英国プレスでジャケットのみ米国で作られています。値段はCOLUMBIA盤よりかなりリーズナブルです。イギリス・プレス盤、モノラル録音。1954年2月にロンドン、キングズウェイ・ホールでのセッション録音。  ヨハンナ・マルツィは1924年ハンガリー生まれ。生前のフバイに教えを受け、その才能を約束された。大戦を逃れ、夫婦はスイスへ移住。当初、オランダで活動を行う。1950年、スイスで出会った富豪からイタリアの銘器、カルロ・ベルゴンツィ「タシリオ」を貸与され、全ての録音に使用した。1953年ロンドン・デビューを果たし、そして、ウォルター・レッグの目に留まり、このブラームスが英Columbiaで最初の録音となった。  その容姿ゆえ、英国で人気の高かったマルツィのブラームスはこのように録音され、60年を経た今なお多くのファンから高い支持を得ている。今から思えば女流ヴァイオリニスト・ブームというのは、このLPから始まったように思う。このレコード録音ほど、それまで意識したことのなかった女流奏者という存在を印象付けたLPは無い。確かにこの曲には名だたる名演がひしめく。ブラームスという曲と女流というのがとても合っているようだ。女性ならではの切ない情念が包み、しかもそれが高い気品を持った名品。  いかに優れた音楽家であったにせよ、ハンガリーの片田舎出身のヴァイオリニストが、その死後40年以上経た今日も名声と伝説とオーラを保ち解き放っているという事実は驚嘆に値する。勿論この名声と伝説はこれからも語り継がれていくと思います。  異常なまでの集中力とそれを支える精神力は、マルツィの演奏に感じさせる類いまれな緊張感のエネルギーみたいなもので、演奏する作品と何とも云えない一体感を感じさせてくれます。 詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。 https://recordsound.jp/analogsound/index.php?mode=detail&gid=27451 アメリカの挑発にも、どこ吹く風。ソ連の若き演奏家が戦争の不安を吹っ飛ばしてしまう。 通販レコードのご案内《英プレス LARGE DOG IN SEMI-CIRCLE 盤》GB EMI ALP1460 ダヴィッド・オイストラフ シャルル・ミュンシュ ボストン交響楽団 ショーソン:詩曲、サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ、ベルリオーズ:ロメオとジュリエット(抜粋) ショーソンの『詩曲』の名演として知られる1枚。ソロ・ヴァイオリンがオイストラフという非常に贅沢なキャスティングです。イギリス・プレス盤、モノラル録音。1955年12月14日にボストン、シンフォニー・ホールでのセッション録音。 このほの暗い響きは、印象派以降の近代フランスの音楽には滅多に聞かれないもので、ショーソン独特のものである。というよりもこの曲独特と言ってよいだろう。ショーソンは若くして(44歳)不慮の事故(一部では自殺説もあるそうです)で亡くなったために、日本での認知度はあまり高くないようです。そんな中で、唯一知れ渡っているのがこの「詩曲」です。幼い頃から優れた家庭教師によって英才教育を施され、幸せな結婚と裕福な家庭生活を築き上げると言う、ヨーロッパにおける典型的な中産階級の一員でした。ショーソンは表面的には非常に恵まれた環境のもとでその人生を送ったかのように見えます。しかし、そんな表面的な豊かさとは裏腹に、彼の作品からは、その内面に巣くっているどうしようもないペシミズムが見え隠れします。この「詩曲」の全編を覆っているほの暗さには、世紀末ヨーロッパを蔽っていた、とらえ所のない漠然とした焦燥感や苛立ちのようなものが反映しています。 神秘的に静かに始まって、そしてあまりおおきな盛り上がりも見せずに最後も静かに曲を閉じるこの作品は、それほど一般受けする作品とも言えません。最初はツルゲーネフの『勝ち誇れる恋の歌』に触発されて書き始められたものの、やがてはその標題性を破棄して、ただ単に『詩曲』とされたのは、狭い文学世界のテーマを乗り越えて、その様な時代の風を反映したより普遍性の高い作品になった事への自負もあったのでしょう。技巧的とはほど遠いソロは華麗さの対極にある静謐さをたたえ、穏やかに歩を進める。  オイストラフの艶のある美音。ミュンシュ、ボストン交響楽団の伴奏も、豊かな色彩感と独特の抒情性を十全に表現し、ワーグナーの影響を受けたと言われるショーソンの情熱的な側面をも捉えた名演です。オイストラフがアメリカにデビューした頃の録音です。オイストラフはよく言われているように、若い時代の切れ味の鋭い演奏と、晩年のゆったりとした演奏とで、別人のような姿を見せます。そこには、何か音楽に対する「価値観」が変わったかのような変貌ぶりだったように思えます。 ここでのオイストラフは太めの豊かな響きでグイグイと作品を描いていきます。それに対してミュンシュの方もオーケストラを思いっきり煽り鳴らして世紀末の儚い夢 ― 先行きの不安など吹っ飛ばしてしまいそうです。  サン=サーンスの『序奏とロンド・カプリチオーソ』と同日に収録され、そのカップリングで発売された。当時の雪解けによって、ソ連の演奏家が徐々に西側に登場しはじめたころの文化的状況を背景にした歴史的な録音。詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。 https://recordsound.jp/analogsound/index.php?mode=detail&gid=27450 (さらに…)...
Read More
爽快な演奏で胸がすく英EMIの3名盤 故国の作曲家ではないけれど、だからこそか新鮮な解釈で全集レコーディングに発展した。

爽快な演奏で胸がすく英EMIの3名盤 故国の作曲家ではないけれど、だからこそか新鮮な解釈で全集レコーディングに発展した。

アレクシス・ワイセンベルクによるショパンの若き日の傑作。通販レコードのご案内FR VSM 2C069-10.445 ワイセンベルク ショパン:ピアノ協奏曲1番華麗でしかも憂愁な気品に充ちた作品を、ブルガリア出身のピアニスト、ワイセンベルクが、ロマンティックな情感を込めながらも颯爽として若々しく、力強さに溢れた輝きを放つ名盤です。ポーランドの名指揮者スクロヴァチェフスキとパリ音楽院管弦楽団の柔らかい響きもワイセンベルクの明るい音色と見事にマッチしています。明快で美しく、力強いタッチで独特の爽快感を生みだしていたワイセンベルクが、おおよそ十年の演奏活動休止後の1967年フランスに活動拠点を構え収録したショパンの《ピアノ協奏曲第1番ホ短調作品11》。ワイセンベルクが38歳、現在長老のスクロヴァチェフスキがまだ44歳のときのもので、ワイセンベルクはこの頃から暫くカラヤンとピアノ協奏曲の有名曲の数々をベルリン・フィルとEMIに録音する全盛期を迎えつつある頃。ここでは一音たりとも無駄にせず音化していく「レントゲン写真のような演奏」とよく評されるスクロヴァチェスキとは雰囲気は異なっている。オーケストラはパリ音楽院管弦楽団だが、クリュイタンス亡き後、ショパンやベルリオーズ、ワーグナーが若い頃に、ベートーヴェンの交響曲全曲初演のために設立されたパリ・コンセルヴァトワールの管弦楽団を解散して1967年に改組された。日本語表記ではそっくりだが、この際に団員の2/3が去っており、楽団のカラーもアンサンブル重視の近代的なものに一変したばかり。ワイセンベルクのハードボイルド的なルックスがマッチして聴こえる、一音一音はっきり粒立ちした音色で説得感溢れる「男前」のショパンの《ピアノ協奏曲》に仕上がっている。オーケストラはそれを、厚みのあるサウンドでしっかりサポートしており、ショパンのオーケストレーションの貧しさは感じさせない。 Recorded: Ⅻ.1967, Salle Wagram, Parisオーダーはリンク先の詳細掲載ページで 「伝説の名演」通販レコードのご案内GB EMI SLS851 バルビローリ/ニュー・フィルハーモニア管/ベルリン・フィル マーラー 交響曲6番/9番マーラー交響曲9番はベルリン・フィルにとって曰く付きの曲と言っていい。1963年にバルビローリが客演指揮した際、ベルリン・フィルの楽団員がその音楽の素晴らしさに感動し、楽団員全員の希望により実現したのがこの録音。ドイツ・グラモフォン専属であったベルリン・フィルが当時EMIに録音する事は極めて異例なことで、またイギリス人の指揮者がベルリン・フィルと録音するのは、1937年のサー・ビーチャム以来の事であったそうです。バルビローリ自身もこれがベルリン・フィルとの唯一の録音となりました。そして、この録音を凌駕する演奏はまず有り得ないという事で、その後どの指揮者もこの曲を意識的に避けるようになったという「伝説の名演」だという事です。オーダーはリンク先の詳細掲載ページで ホールトーンにアナログの雰囲気が良く出ている通販レコードのご案内GB EMI SLS5044 ベルグルンド/ボーンマス響 ショスタコーヴィチ 交響曲第5番/第10番左手に指揮棒を持つことでも有名なパーヴォ・アラン・エンゲルベルク・ベルグルンドは、ヘルシンキ生まれのフィンランドの指揮者。交響曲の楽譜校訂までおこなうほどの研究の徹底ぶりと細密なアプローチでもってシベリウス演奏のスペシャリストとして特に有名でしたが、実際のレパートリーは幅広く、ショスタコーヴィチやヴォーン=ウィリアムズといった作品も積極的にとりあげ、見識ある演奏を聴かせていました。ベルグルンドは1972年から1979年まではボーンマス交響楽団の首席指揮者に在任し、最初のシベリウス交響曲全集や本盤ショスタコーヴィチの交響曲録音。ボーンマス響の活力ある演奏ぶりは爽快で小気味良い。オーケストラには少々演奏に粗さはありますが、スケールの大きさは魅力です。良いオーケストラですね。録音も優秀。ホールトーンにアナログの雰囲気が良く出ていると思います。1975年7月サザンプトン、ギルドホールでの録音。オーダーはリンク先の詳細掲載ページで (さらに…)...
Read More
20世紀で最も美しいピアノの音色、ラヴェル直伝のピアニズム◉ロベール・カサドシュ◯ラヴェル・ピアノ名曲選

20世紀で最も美しいピアノの音色、ラヴェル直伝のピアニズム◉ロベール・カサドシュ◯ラヴェル・ピアノ名曲選

通販レコードのご案内カサドシュの ― 些細な事に拘らない ― 美学が見え隠れする名演です。《ブルーラベル、レア盤》FR CBS S77346 カサドシュ ラヴェル・ピアノ名曲選 カサドシュは既に定評の有るモーツァルトとラヴェルを最も重要なジャンルの作品に据えていたのではと思いたくなるレコード。 カサドシュの ― 些細な事に拘らない ― 美学が見え隠れする名演です。清楚で淡々と演奏していて、常にスタイリッシュです。いわゆる、ソリストとしては絶対に必要な「俺が俺が」と言って前面に出ていく強さがほとんど感じられない。最初から最後までカサドシュの美学の中で事は進んでいくように思えます。ステレオ録音。 通販レコード詳細・コンディション、価格 プロダクト 品番34-11054商品名FR CBS S77346 カサドシュ ラヴェル・ピアノ名曲選レコード番号S77346作曲家モーリス・ラヴェル演奏者ロベール・カサドシュ録音種別STEREO 販売レコードのカバー、レーベル写真 BLUE WITH BLACK LETTERING, STEREO 3枚組(130g/130g/130g), Release 1972。解説書付属。 コンディション ジャケット状態M-レコード状態EX製盤国FR(フランス)盤 レーベルガイド "Walking Eye" in Center “一つ目”とも呼ばれますが CBS という報道機関の象徴として目と足を模したウォーキング・アイとよばれるロゴが中央に描かれているデザインです。 米国内プレスでなく、英国プレス、仏国プレス盤で主に使用されています。通販レコード詳細の確認、特別価格での購入手続きは品番のリンクから行えます。オーダー番号34-11054特別価格7,040円(税込)販売価格8,800円(税込)プライバシーに配慮し、会員登録なしで商品をご購入いただけます。梱包には無地のダンボールを使用し、伝票に記載される内容はお客様でご指定可能です。郵便局留めや運送会社営業所留めの発送にも対応しております。 (さらに…)...
Read More
生涯心と耳を感動させる☆プレミアム5選 バイロイトの第九 終戦を願うマタイ 女性ならではの切ない情念が包むブラームス

生涯心と耳を感動させる☆プレミアム5選 バイロイトの第九 終戦を願うマタイ 女性ならではの切ない情念が包むブラームス

20世紀の人類の遺産、バイロイトの第九。 通販レコードのご案内《仏LARGE DOG IN SEMI-CIRCLE盤》FR VSM FALP30048-49 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー エリザベート・シュワルツコップ エリザベート・ヘンゲン ハンス・ホップ オットー・エーデルマン バイロイト祝祭管弦楽団 ベートーヴェン:交響曲9番(1951年バイロイト音楽祭) 1951年7月29日、バイロイト祝祭劇場でのライヴ録音。通称「バイロイトの第九」はバイロイト音楽祭の戦後初開催の初日に行われた伝説の実況録音盤で、まさに20世紀の人類の遺産ともいうべきレコードです。英国盤(超高価)を除けば最も音質的評価の高いフランス盤、盤質も良好でこなれた価格のお勧め品。フランス・プレス盤、モノラル録音。1951年7月29日にバイロイト祝祭劇場でのライヴ録音。優秀録音、名演、名盤。 詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。 https://recordsound.jp/analogsound/index.php?mode=detail&gid=27453 破滅的な大戦争を前にして、この受難曲演奏会が最後となることを知っていたかのような、迫真の記録。 通販レコードのご案内《南アプレス盤、Minigrooveプラムレーベル》ZA PHILIPS A00150L ウィレム・メンゲルベルク カール・エルブ ウィレム・ラヴェリ ヨー・フィンセント イローナ・ドゥリゴ ルイ・ファン・トゥルダー ヘルマン・シャイ コンセルトヘボウ管弦楽団 アムステルダム・トーンクンスト合唱団 バッハ:マタイ受難曲 オランダの巨匠メンゲルベルクは、1895年にコンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者となって以来バッハの演奏に情熱を注ぎ、とりわけ「マタイ受難曲」を多く取り上げました。毎年復活祭に演奏する伝統は、第二次世界大戦勃発により途絶えてしまったそうです。これは第二次世界大戦直前の1939年4月2日の歴史的ライヴ録音。誰もが魂を揺さぶられる名演中の名演です。1952年発売のオリジナル、入手困難レア盤。珍しい南アフリカ共和国プレスですが音質クリアで問題ありません。ノイズは全体的にごく僅かな良好盤です。モノラル録音。1939年4月2日にアムステルダム、コンセルトヘボウでの録音。カルル・エルプ(テノール)、ウィレム・ラヴェッリ(バス)、ジョー・ヴィンセント(ソプラノ)、イローナ・ドゥリゴ(アルト)、ルイ・ファン・トゥルダー(テノール)、ヘルマン・シャイ(バス)、ピエト・ファン・エグモンド(オルガン)、ヨハンネス・デン・ヘルトグ(ハープシコード)、ルイ・ツィンマーマン(ヴァイオリン)、G.ブランハード(オーボエ・ダ・モーレ)、W.ペッデモルス(オーボエ・ダ・カッチャ)、フーベルト・バルワーザー(フルート)、ザンハルスト少年合唱団(合唱指揮:ウィレム・ヘスペ)。  メンゲルベルクがアムステルダム・コンセルトヘボウ管に君臨する1899年以来、毎年棕櫚の日曜日(復活祭直前の日曜日)に演奏されてきた「マタイ受難曲」。1939年4月2日の祝日にオランダ放送によって収録された、名演として名高いライブ録音です。この演奏は、バッハの演奏スタイルにおける、一昔前の、モニュメンタルでロマン派的な伝統を代表するものとはいえ、心の奥深いところで感動している精神性、痛切さ、共感を有するものです。あたかも、現場に居合わせた人全員が、1939年9月に欧州で勃発する破滅的な大戦争を前にして、この受難曲演奏会が最後となることを知っていたかのような、迫真の記録を聴くことができます。 昔から伝説的に語られていますが、第39曲の有名なアルトのアリア「憐れみたまえ、わが神よ、したたり落つるわが涙のゆえに」、第47曲「主よ、憐れみたまえ」で観客がすすり泣く声が入っています。それくらい異様な空気の中で演奏が進みます。演奏スタイルはロマンティックで、現代から見れば、モダン・オーケストラでの恣意的な演奏と取られても仕方がない類ですが、けして良いとは言い難い音質ともども物ともしない感動を呼びます。その時代背景を知れば、尚更その衝撃だけでも演奏が心に突き刺さり残ります。カール・リヒター盤と並んでこの曲最高の名盤、かつ人類の至宝とまで讃えられた逸品。イエスの受難と弟子たちの懊悩をここまで文学的に表出した演奏は唯一無二なものです。 SPレコード録音の時代ですが、イギリス、ドイツと同様、北海を挟んで向かい合うオランダでも兵器としての音響技術が進んでいた。このライブ録音は、フィリップス=ミラー録音システムが用いられている。この録音システムは、黒色に塗布されたセルロイドのフィルム上に、サファイア・ガラスの針で刻みこんで録音し、映写フィルム同様に読み取るものです。(映画のサウンドトラックに利用される方式とほぼ同じ)この方式により、当時の商業レコードである78回転SPレコード録音よりも長時間かつ、より広い周波数帯域の収録が可能となりました。 しかし、録音成果は完璧なものではありません。突然の電圧不安定によるものか音量レベルが変動したりも起こりますが、良い部分では、1950年代初期のテープ録音に匹敵する音質に達し、感動的な場面におけるメンゲルベルクの迫力を聴き取ることが可能です。 詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。 https://recordsound.jp/analogsound/index.php?mode=detail&gid=27452 前期ロマン派に対するクレンペラーのアプローチは素晴らしい。毅然として、べたつかない浪漫を感じます。 通販レコードのご案内《BLUE & SILVER オリジナル》GB COLUMBIA SAX2397 オットー・クレンペラー フィルハーモニア管弦楽団 シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレート」 クレンペラーならではの分厚く荘厳な、唯一無二の「ザ・グレート」。貴重なB/S初期盤、ノイズはごくわずかな良好盤です。しなやかさも感じられる各楽器の音色、バランスは鮮明でした。イギリス・プレス、オリジナル盤、ステレオ録音。1960年11月にロンドン、キングズウェイ・ホールでのセッション録音。プロデュースはウォルター・レッグ、エンジニアはクリストファー・パーカー。優秀録音、名演、名盤。  シューベルト交響曲第9番「ザ・グレイト」、シューベルトの交響曲の中でも「未完成」と肩を並べる名作交響曲。後に誕生した多くの交響曲に影響を及ぼした。シューベルトの死後、発見された「未完成」は、「名誉ディプロマ」を授与された返礼としてグラーツ楽友協会に贈ったが、劇付随音楽『ロザムンデ』に音楽を流用するため第3・第4楽章の楽譜の返還を求め、グラーツ楽友協会側は残りの楽章が送られてくるだろうからと引き出しの奥にしまい込まれていた。 シューベルトの死後から、10年。墓参をしたシューマンはウィーンのシューベルト宅を訪問した。故人の部屋を管理していた兄フェルディナントは死後そのままにシューベルトの仕事机を保管していた。シューベルトはあくまで歌曲や小規模な室内楽、ピアノ曲などを演奏する、気心知れた仲間内の演奏会「シューベルティアーデ」の作曲家という認識しか持っていなかったシューマンは、その机の上にあった長大な交響曲を発見し、シューベルトを歌曲の作曲家と見ていた自らの認識を覆すその作品に驚愕した。1826年に完成された、同曲はウィーン楽友協会へ献辞を添えて提出されていたが、演奏困難との理由で演奏されることはなかった。演奏されるのを待つばかりの楽譜は、シューベルトの仕事机の上にそのままあった。 指示通りに演奏しても60分以上かかる大曲であり、シューマンは曲をジャン・パウルの小説にたとえ、「すばらしい長さ (天国的な長さ)」と賞賛している。シューマンはぜひこれを演奏したい、とメンデルスゾーンのもとに楽譜が届けられた。1838年3月21日、メンデルスゾーンの指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏によって、この交響曲は初演された。 シューベルトの死後から、10年。ベートーヴェンを尊敬してやまなかったシューベルト、渾身の交響曲はついに音となり、鳴り響いた。ベートーヴェンの交響曲の規模の大きさと力強さとを受け継ぎ、彼独自のロマン性を加えて完成された作品となっており、後のブルックナー、マーラー、20世紀のショスタコーヴィチなどの交響曲につながっている。 20世紀を代表する巨匠クレンペラーがフィルハーモニアと贈るシューベルトの大人気交響曲。クレンペラーが得意としたマーラーやブルックナーの交響曲に匹敵する長大な交響曲である「ザ・グレイト」は、重厚的かつバランス良く奏でられる。覇気がある演奏で、曲の存在感はより大きいものとなっている。ホルン2本のユニゾンでおおらかに始まる第1楽章の開始部分は、シューマンの交響曲第1番『春』やメンデルスゾーンの交響曲第2番、ブラームスのピアノ協奏曲第2番のモデルとなっている。リズミカルなモチーフを主体として主題が構成されている主部は、尊敬してやまなかったベートーヴェンの特に交響曲第7番と多くの共通点を持つ一方で、大胆な転調や和声進行にシューベルトらしさが満ちあふれている。第3楽章はスケルツォ、後のブルックナー後期作品を思わせるような息せき切るような主部の旋律と、シューベルトらしい旋律に溢れた雄大な中間部トリオの対照が効果的である。長大な最終楽章。この楽章ならではのオスティナートと強弱のコントラスト、激しい転調に特徴があり非常に急速で息を付かせない。旋律にはベートーヴェンの交響曲第9番の「歓喜の主題」が改変されて引用されており、ベートーヴェンに対するオマージュと考えられる。 詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。 https://recordsound.jp/analogsound/index.php?mode=detail&gid=27454 語り継がれていく名盤 ― 聴き手の心を震わせる、誉れ高き名盤。 通販レコードのご案内《英プレス盤 SEMI-CIRCLE ANGEL》GB ANGEL ANG35137 ヨハンナ・マルツィ パウル・クレツキ フィルハーモニア管弦楽団 ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 マルツィの代表的な名盤で、英COLUMBIA盤はコレクターズ・アイテムとして有名な高額盤。このANGEL盤は英国プレスでジャケットのみ米国で作られています。値段はCOLUMBIA盤よりかなりリーズナブルです。イギリス・プレス盤、モノラル録音。1954年2月にロンドン、キングズウェイ・ホールでのセッション録音。  ヨハンナ・マルツィは1924年ハンガリー生まれ。生前のフバイに教えを受け、その才能を約束された。大戦を逃れ、夫婦はスイスへ移住。当初、オランダで活動を行う。1950年、スイスで出会った富豪からイタリアの銘器、カルロ・ベルゴンツィ「タシリオ」を貸与され、全ての録音に使用した。1953年ロンドン・デビューを果たし、そして、ウォルター・レッグの目に留まり、このブラームスが英Columbiaで最初の録音となった。  その容姿ゆえ、英国で人気の高かったマルツィのブラームスはこのように録音され、60年を経た今なお多くのファンから高い支持を得ている。今から思えば女流ヴァイオリニスト・ブームというのは、このLPから始まったように思う。このレコード録音ほど、それまで意識したことのなかった女流奏者という存在を印象付けたLPは無い。確かにこの曲には名だたる名演がひしめく。ブラームスという曲と女流というのがとても合っているようだ。女性ならではの切ない情念が包み、しかもそれが高い気品を持った名品。  いかに優れた音楽家であったにせよ、ハンガリーの片田舎出身のヴァイオリニストが、その死後40年以上経た今日も名声と伝説とオーラを保ち解き放っているという事実は驚嘆に値する。勿論この名声と伝説はこれからも語り継がれていくと思います。  異常なまでの集中力とそれを支える精神力は、マルツィの演奏に感じさせる類いまれな緊張感のエネルギーみたいなもので、演奏する作品と何とも云えない一体感を感じさせてくれます。 詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。 https://recordsound.jp/analogsound/index.php?mode=detail&gid=27451 アメリカの挑発にも、どこ吹く風。ソ連の若き演奏家が戦争の不安を吹っ飛ばしてしまう。 通販レコードのご案内《英プレス LARGE DOG IN SEMI-CIRCLE 盤》GB EMI ALP1460 ダヴィッド・オイストラフ シャルル・ミュンシュ ボストン交響楽団 ショーソン:詩曲、サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ、ベルリオーズ:ロメオとジュリエット(抜粋) ショーソンの『詩曲』の名演として知られる1枚。ソロ・ヴァイオリンがオイストラフという非常に贅沢なキャスティングです。イギリス・プレス盤、モノラル録音。1955年12月14日にボストン、シンフォニー・ホールでのセッション録音。 このほの暗い響きは、印象派以降の近代フランスの音楽には滅多に聞かれないもので、ショーソン独特のものである。というよりもこの曲独特と言ってよいだろう。ショーソンは若くして(44歳)不慮の事故(一部では自殺説もあるそうです)で亡くなったために、日本での認知度はあまり高くないようです。そんな中で、唯一知れ渡っているのがこの「詩曲」です。幼い頃から優れた家庭教師によって英才教育を施され、幸せな結婚と裕福な家庭生活を築き上げると言う、ヨーロッパにおける典型的な中産階級の一員でした。ショーソンは表面的には非常に恵まれた環境のもとでその人生を送ったかのように見えます。しかし、そんな表面的な豊かさとは裏腹に、彼の作品からは、その内面に巣くっているどうしようもないペシミズムが見え隠れします。この「詩曲」の全編を覆っているほの暗さには、世紀末ヨーロッパを蔽っていた、とらえ所のない漠然とした焦燥感や苛立ちのようなものが反映しています。 神秘的に静かに始まって、そしてあまりおおきな盛り上がりも見せずに最後も静かに曲を閉じるこの作品は、それほど一般受けする作品とも言えません。最初はツルゲーネフの『勝ち誇れる恋の歌』に触発されて書き始められたものの、やがてはその標題性を破棄して、ただ単に『詩曲』とされたのは、狭い文学世界のテーマを乗り越えて、その様な時代の風を反映したより普遍性の高い作品になった事への自負もあったのでしょう。技巧的とはほど遠いソロは華麗さの対極にある静謐さをたたえ、穏やかに歩を進める。  オイストラフの艶のある美音。ミュンシュ、ボストン交響楽団の伴奏も、豊かな色彩感と独特の抒情性を十全に表現し、ワーグナーの影響を受けたと言われるショーソンの情熱的な側面をも捉えた名演です。オイストラフがアメリカにデビューした頃の録音です。オイストラフはよく言われているように、若い時代の切れ味の鋭い演奏と、晩年のゆったりとした演奏とで、別人のような姿を見せます。そこには、何か音楽に対する「価値観」が変わったかのような変貌ぶりだったように思えます。 ここでのオイストラフは太めの豊かな響きでグイグイと作品を描いていきます。それに対してミュンシュの方もオーケストラを思いっきり煽り鳴らして世紀末の儚い夢 ― 先行きの不安など吹っ飛ばしてしまいそうです。  サン=サーンスの『序奏とロンド・カプリチオーソ』と同日に収録され、そのカップリングで発売された。当時の雪解けによって、ソ連の演奏家が徐々に西側に登場しはじめたころの文化的状況を背景にした歴史的な録音。詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。 https://recordsound.jp/analogsound/index.php?mode=detail&gid=27450 (さらに…)...
Read More
永遠の定番ピックアップ マルケヴィッチ、ヘブラー、セルの入魂の名演 わたしたちは過去の遺産の恩恵を享受している

永遠の定番ピックアップ マルケヴィッチ、ヘブラー、セルの入魂の名演 わたしたちは過去の遺産の恩恵を享受している

1972年の恩師ディアギレフの生誕100年を記念して録音したロシア・バレエ団のために書かれたバレエ音楽集通販レコードのご案内FR GUILDE SMS5227/28 マルケヴィチ モンテカルロのセルゲイ・ディアギレフ鋭い眼光と長い指揮棒を駆使し、楽員を一糸乱れず統率し、楽曲を切れ味鋭く、聴かせどころの盛り上げをダイナミックに表現した凄さでマニアに大人気の20世紀を代表する名指揮者、イーゴリ・マルケヴィチ(1912.7.27~1983.3.7)。ピアノをコルトーに、和声と作曲をナディア・ブーランジェに学びました。 ロシア・バレエ団の主宰者ディアギレフに依頼されたピアノ協奏曲(1929年作)で、作曲家としてデビュー。1930年、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団で自作を振って指揮者デビュー。その後ヘルマン・シェルヘンに指揮法を師事し、本格的に指揮活動に入りました。日本へも度々来演し、1960年の旧日本フィルへ客演した際のストラヴィンスキーの“春の祭典”の名演は語り草となっています。本盤は、1972年の恩師ディアギレフの生誕100年を記念して録音したロシア・バレエ団のために書かれたバレエ音楽集。 セルゲイ・ディアギレフはロシアの芸術プロデューサーで、ニジンスキーを擁した伝説のバレエ団「バレエ・リュス」の創設者として歴史に名を残しています。ストラヴィンスキー「火の鳥」や「春の祭典」、ラヴェル「ダフニスとクロエ」など数多くの委嘱作品を世に送り出し、バレエを総合芸術に高めた偉人です。そのディアギレフの晩年に若きマルケヴィッチは薫陶を受けており、バレエ・リュスとゆかりの深いモンテカルロ管を率いて収録した本作に対する思い入れは特別なものがあったでしょう。ロシア音楽を得意とするマルケヴィッチがあえてフランスのバレエ作品だけをセレクトした通好みの2枚組です。かつて世界最大のレコード通販会社として君臨したコンサートホール・ソサエティ(略称CHS)は、スイスを本拠地として、英米独仏だけでなく遠くアジアの日本などに販売網を広げていました。残念ながら経営に行き詰まり、70年代前半倒産しましたが、EMI、DECCA、COLUMBIAと云ったメジャーレーベルから漏れた隠れた演奏には名演も多く、貴重な文化遺産となっています。このGUILDE INTERNATIONALE DU DISQUEは、CHSのフランス版で、クオリティに差はありません。オーダーはリンク先の詳細掲載ページで スタインウェイ・ピアニストとしての面目躍如通販レコードのご案内NL PHILIPS A02322L イングリッド・ヘブラー モーツァルト ピアノソナタ選集第11番/第9番/第8番イングリッド・ヘブラーほど、その主要レパートリーをモーツァルトに特化して演奏をし続けているピアニストは稀であるといえよう。彼女自身モーツァルトと同じオーストリア出身と云うことも関係しているのかもしれません。 西欧の肖像画では衣装に細かく美しいレースの刺繍が施されている絵を多く見るが、ヘブラーの演奏はまさに細く輝く糸で精巧に編まれた刺繍細工を見ているような気持ちにさせてくれる。 まるでモーツァルトを際立たせるかのように、丹念に、丹念に彼の作品を美しく飾ることに専念している。音楽性と技巧をひたすらモーツァルトの音楽に奉仕させるという姿勢を貫いている。イングリット・ヘブラーは本盤1960年代フィリップスに録音したモーツァルトのピアノ作品全集の素晴らしさで知られている。刺繍職人の素晴らしい細工が、いつまでも輝きを放ち、色褪せることのないように、何の不足もない。ヘブラーの玉を転がすようなタッチが美しいし、フィリップスの暖かい録音もいい。録音はヘブラーが丹念に、さらに丹念に練習し、納得ゆくところで進められてゆく。録音セッションの合間の食事のときでも、ヘブラー心はここにあらず、さっさと自分の部屋に引き上げると、夜起き出して、ホールで自己鍛錬に集中するアーティストだ。彼女が練習の間はレコーディング・スタッフはただひたすら待つのみである。その潔さとあくまでも古典派の音楽へのアプローチとしての自由自在な表現が彼女の到達しえた解釈なのだろう。オーダーはリンク先の詳細掲載ページで 驚くべき透明さや精緻とバランスを持っている美の結晶・セルが追い求めた理想のモーツァルト通販レコードのご案内US COLUMBIA MS6858 セル/クリーブランド管 モーツァルト 交響曲第28番/第33番/フィガロの結婚序曲セルの最大の業績はオハイオ州の地方都市クリーブランドのオーケストラを、大都会のニューヨーク、ボストン、シカゴ、ロサンゼルス各オーケストラに比肩する、いや場合によっては凌駕する全米屈指の名門オーケストラに育て上げたことではないでしょう。その演奏スタイルは独裁者と揶揄されたセルの芸風を反映して、驚くべき透明さや精緻とバランスを持って演奏することであったという。セルはまたオーケストラのある特定のセクションが目立つことを嫌い、アンサンブル全体がスムーズかつ同質に統合されることを徹底したとも云う。こうしたセルの演奏からまず伝わってくるのは、あたりを払うような威厳であり、作品の本質を奥底まで見つめようとする鋭い視線が窺える。絶頂期のクリーヴランド管弦楽団の音色の美しさも特筆すべきもので、オーケストラ全体がまるでひとつの楽器のように聴こえます。音がギッシリ詰まって密度が高い証左か、とにかく、セルの棒にかかると、実に格調高く、またスケールの大きなものとなる。さらに、旋律の歌わせ方などは、セルがハンガリー出身であることも思い出させてくれます。ここに西側の指揮者は真似できない何かが有ります。 カラヤンがクリーブランドで、セルがベルリンで指揮をしていたとしたら、今聞くクラシック音楽のイメージは変わっていたか。セルと同時期に活躍した指揮者といえばマリナー、クレンペラー、ベーム、カラヤンは交響曲全集を残したモーツァルト振りだった。彼らの演奏したモーツァルト演奏は今日において重要な名盤、名演のガイドラインであることに間違いない。 今日においてベートーヴェンも大オーケストラで演奏するよりも小オーケストラで演奏する機会が非常に多いわけだが、先駆けとして彼らの演奏があって、スタンダードになったと言っても良いだろう。 ジョージ・セルはオーストリア=ハンガリー帝国時代のブタペストで生まれました。3歳からウィーン音楽院でピアノ、指揮、作曲を学び、11歳でモーツァルトのピアノ協奏曲を弾いてピアニストとしてデビュー。ヨーロッパ各地へ演奏旅行を行い、自作曲も披露、「モーツァルトの再来」とも評されます。作曲家・指揮者だったリヒャルト・シュトラウスに認められ、ベルリン国立歌劇場のアシスタント指揮者となったのは、18歳のとき。オーストラリアへの演奏旅行の帰途に第二次世界大戦が勃発、トスカニーニの援助でNBC響の客演指揮者として迎えられる形でアメリカにとどまり、帰国をあきらめざるを得なかった。 戦後早々にクリーヴランド管弦楽団の音楽監督に就任。経営陣から一切のマネジメントの権限を手に入れたセルは大改革を行います。楽団員の半分以上を解雇し、罵声を浴びせながらも徹底した訓練を行い、10年足らずで世界第一級のオーケストラに育て上げました。 そんな怖いセルがウィーン・フィルの客演に招かれたときのエピソードは有名です。ウィーン・フィルの団員たちが、彼の指揮に対して勇気を出して文句をつけたときのこと、セルはきっぱりとこう言ったそうです。わたしは諸君に招かれてきた。だから諸君は私を追い出すこともできる。つまり二つの道がある。諸君の馴染んだやり方でやるか、わたしのやりたいようにやるか。わたしは最初のやり方に賛成しない。だから第二の道しかないわけだ!感情移入を行わない禁欲的で厳密な解釈と終身雇用が日常だった日本では特に「冷徹な」指揮者とする評価が、米COLUMBIAの日本での発売元が、CBSソニーになったことも相まって、マイナスのイメージもあったが、楽譜に書かれている指示に正直であれば、作曲家のイメージした音楽が顕現するのです。 ギルドシステムの強かったアメリカの楽団スタイルを、固定メンバーとし、オーディションを勝ち抜いた精鋭たちによって構成したことでカラヤンのベルリン・フィルでもできなかった、セルが追い求めた理想のモーツァルト像を実現した。 経営難にあったクリーヴランド管に、リヒャルト・シュトラウス時代の大編成は望むことはできなかったろうが、小編成であるが故緩やかな楽章での色彩豊かなアンサンブル、疾走感あふれる演奏で響きが引き締まり、強靭さが増すことをリヒャルト・シュトラウスから学んだことでもあったのではないか。オーダーはリンク先の詳細掲載ページで (さらに…)...
Read More